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適応障害の兆候・なりかけ・初期症状のサイン
◇このページは
実際に適応障害になった経験から、その兆候・なりかけ・初期症状のサインだと思うものについてまとめてみました。放っておくとどうなるか、についても記述しています。
※適応障害 学びのまとめや疲れたら・・・休むしかない!などもご参考になさってください。
◇適応障害発症の兆候 → 放っておくとどうなるか?
1.「本当は休みたいけど、休めない」 → 「休めないから、そのまま消え入りたい」
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「休みたいな」と思っても、「休む」という行為ができなくなります。「働くことで不安感を解消して、そのエネルギー(ストレスを受けた時に出るコルチゾールとかアドレナリンとか)で何とか『休みたい』という心の声を押さえこんでいる」状態です。当然ながら、ストレスを抑え込むエネルギーが枯渇すれば働くことそのものができなくなるので非常に危険な状態なのですが、「休まないことで、休まないためのエネルギーを充填する」という倒錯した状態になっているので(その状態に本人も過剰なほど適応しているので)、この状態で働き続ければ続けるほど、どんどん休めなくなっていきます。
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そしてある時突然、疲労がピークに達した時、「そうか、休めないならそのままフェードアウトしてしまえばいいんだ(大発見)!」という歪んだ発想が-本人にとってはきわめて合理的な選択として
-頭に浮かんだ挙句、突然失踪したり、急に退職したり・・と周囲から見ると「極端」「不可解」な行動を企図するようになります。
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なお本人が「休めないから突然倒れて休職したい」とか、「休めないから消えたい」と強く願うようになるのは、酷い疲労が故の視野狭窄状態といえます。本来は、「疲れが酷すぎるので休むことを会社に相談する」となるところが、「休むなら消える」と極端な発想で頭がいっぱいになってしまっているわけです。
大真面目に、「休めないので消える」という発想がデフォルトになってくるのです。こうなると現実的に「ストレス源から離れて長期間休む」ことが必要になってくるでしょう。「休めない」ことで、「長期に休む」必要が出てくるというのはなんたる皮肉でしょうか。長期離脱こそ本人が最も恐れているものなはずですが、適切に「休めない」状態こそが、実は一番「長期離脱」に近い状態なのですね。
2.「よく眠れていない気がする」 → 「夜中に何度も目が覚める、早朝に目が覚める、寝付けない」(睡眠障害)
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最初は「なんだか、寝ても疲れが取れないなぁ」くらいのものだったのが、あっという間に「中途覚醒」「早朝覚醒」「入眠障害」といった睡眠障害に発展していきます。私の場合、一番酷くなった休職前最後の数日は12時に床についても1時頃まで眠れず、2時から4時にかけては30分ごとに必ず目が覚めて、4時に起きたらもう眠れずに7時までずっと寝床で不安と闘って起床・・という絶望的な状態でした。不眠症状のデパートですね。
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「夜にスマホを見ない」「寝る直前に飲食をしない」「湯船にしっかりつかる」「部屋を快適な温度・湿度にする」「枕を変える」「遮光カーテンにする」などの「よく言われる快眠対策」をとっても一向に症状が改善しない場合は、ストレスの影響を疑ってもよいかもしれません。
3.「燃え尽きた感じがする」 → 「虚脱感、望みがない」
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「あれ、なんか燃え尽きた?」という「ふとした気づき」から一挙に畳みかけるように憎悪します。突然の虚脱感というか、空虚な気持ちというか、とにかく「未来」を「想像」することが難しくなります。これは絶望というより、「望みがない」状態と言えますね。「ある望みが断絶した」というよりは、「もともと空っぽ」のような感覚です。「空っぽ」なのに、脳の中は「真っ黒なドロドロした液体」で満たされているような感じがしました。
4.「情報が頭に入ってこない」 → 「物事への興味がわかない」
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ビジネスの電話やメールはもちろんのこと、プライベートでもニュースや読書など、それなりに「頭を通すもの」が覿面にダメになります。
情報という情報が頭にまったく入ってこなくなります(気づいたらそうなっている、という感じです)。
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次第に、「物事への興味」そのものを失っていきます。「○○したい」という感情が生まれなくなる、とでもいうのでしょうか。テレビを見ても「ただ絵と音が動いているだけ」で、何も感じなくなってきます。この時点ではすでに「内容」は頭を素通りしていることが多いです。「ふーん」とすら思わないというか。
5.「1日中疲れが取れない」 → 「強烈な疲労感、身体が重くて動けない」
- 休日でも疲れている、朝起きても疲れが取れないという状態からはじまり、すぐに疲れが取れない感覚が1日中続くようになります。
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さらに一度休んでストレス源から離れると、今まで覆い隠されていた「疲労」が一気に吹き出し、強烈な「疲労感」により、身体がとにかく重く、動けなくなります。「え、自分ってこんなに疲れていたの?」と本当にびっくりするくらいの、強烈な疲労感です。このまま休み続けると、ある時突然、「すっきり」するようになります。「これが『疲れがない』ということか」と
めちゃくちゃ感動しますよ!
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こうして休みに慣れてくると、今度は非常に「疲れやすく」なります。これは、本当は今までは等しく「疲れ」を感じていたのに、それを「抗ストレス反応」や「栄養ドリンク」などで無理やり打ち消していただけなんですね。休むことで、そのメカニズムに気づきました。「休めば休むほど、自分の疲れに気づきやすくなる(だから、適切に休養を取れるようになる)」というのが感覚としては正しいような気がします。
6.「周囲から『休んだら?』と心配される」 → 「『この状況で休めるわけないだろ』と、ますます仕事に打ち込むようになる」
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周囲から「休んだら」と心配されるのを「勲章」だと思っていませんか?かくいう私は、恥ずかしながら思っていました。ただ、今にして思えばこれは勲章などではなく、貴重な「注意勧告」ですよ。元気そうな人に「休んだら」と声を掛ける人はいません。言動(イライラしている)とか、表情(顔色が悪い)とか、「普段のその人と違う」と思っているからこそ「休め」と言っているのに、適応障害に片足を突っ込んでいる脳は「戦闘モード」ですから、「この状況で休めるわけないだろ!」と、あろうことかその心配を疎んじて、ますます仕事に打ち込むようになっていきます。
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今だから言えますが、周囲から心配されだした場合、適切に休養を取らないと、ほぼ間違いなく、近いうちに体調を崩します。人はそれほど他人の状態をモニターしているわけではないですが、そうであっても「なんか変だぞ」と思うというのは、<よほどのこと>なわけです。「周囲の忠告を聞く」ことができなくなるのも、脳が疲れてきている証拠といえるでしょう。逆にそういわれて素直に休めると、破綻は避けることができるというわけですね。つくづく人間、「言われるうちが華」なのだと痛感しました。
7.「今まではしないような小さなミスや忘れ物、考えなかったような些末な心配事が増える」 → 「漠然とした強い不安感が空回りして、焦って考えがまとまらなくなる」
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普段はしないような小さなミスや忘れ物。疲労が蓄積しているときには余計に凹むものですが、凹んでいる場合ではありません。「自分がいよいよヤバくなっている」と危機感を持つべき状態です。ポイントは「いつもはしないような」というところです。
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疲れていると、なぜか今までは気にもしなかった細かいことが気になるケースもあります。部署内の文書なのに、「コピーを取った書類に少し黒い線が入ってしまったので、すり直す」とか、「行頭が半角1文字分ずれていた行をたまたま発見したので、全文見直した」とか、普通では信じられないほど些末な作業をして、余計にストレスをためるということも出てきます。
- これらを放っておくと、漠然とした「不安感」がどんどん成長し、しかもそれが空回りをはじめ、焦りばかり強くなって、考えがまとまらなくなってきます。
8.「仕事に行きたくない気持ちが四六時中頭を覆うようになる」 → 「仕事に集中できなくなる、仕事についての思考ができなくなる」
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誰でも「今日は仕事したくないなぁ」と思うことはあるはずですが、その気持ちが「四六時中」になるとどうでしょう。徐々に脳に靄がかかったようになり、「仕事」について考えること自体が難しくなってきます。まるで「フリーズ」したかのように、仕事に集中できなくなったり、思考そのものを仕事に向けることが不可能になったりします。
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冗談のようですが、1本の電話をかけるとか、1本のメールを送るまでに「1時間」かかるようになるなど、悪化すると仕事どころではなくなってしまいます。まさに「フリーズ」です。
9.「体調が悪く、周囲に迷惑をかけているような気がする」 → 「『体調も悪いし、自分はもうだめだ』と思い込むようになる」
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ストレス反応が身体に出てくると、めまい、立ち眩み、ふらつき、頭痛、肩凝り、腰痛、胃痛、下痢など不快な自律神経失調症状に常時悩まされるようになります。かかる体調不良によってさらに心が弱り、「周囲に迷惑をかけているような気がする」という気持ちもどんどんと強くなってきます。これが続くと容易に、「自分はもうだめだ」と思い込むようになります。ときには「もうだめだ」が口癖になってずっとマイナス言葉を吐き散らし、周囲を萎えさせます。
10.「『面倒だし、昼(朝)ごはんは抜くか』という思考になる」 → 「吐き気がして、ご飯を食べようと思えなくなる」
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私の場合、おかしくなる直前は、職場でほぼ昼を抜いていました。ポイントは、「忙しくて、昼が食べられない」のではなく、もはや「面倒だから」と理由が倒錯してしまっていることです。私は幸いにして食欲はキープできていた方だと思うのですが(ああ、でもよく考えると体重は数か月で4キロ落ちたかも・・)、これが酷くなると「吐き気がして、ご飯を食べようと思えなくなる」という状態に進行することもあるようです。
◇つまり
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「休めない」「眠れない」「疲れが取れない」「食べられない」「興味がわかない」「集中できない」「思考ができない」という7つの「ない」があったときは、「ちょっと危なくない?」と思うようにしたほうがよさそうです。
公開開始:2022年2月16日
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