電車に「クハ 101-1」と書かれている場合、「クハ」の部分を記号、「111」の3桁の数字(ただし、JR東日本ではこの数字の前にEast Japan Railwayの頭文字である”E”を付与して「E231」などとする)を形式番号、ハイフンのあとの数字を「車両番号」と呼称します。それぞれみていきましょう。
記号は、「車種」と「用途」を表します。
車両の種類です。
ク:制御車のことで、運転台がある車両を指します。諸説ありますが「駆動車」のク、とも、「くっついて走る」のク、とも言われます。編成表では、Tc(trailer + controller)またはCTと表記されます。運転台があることから、乗客のスペースは他の車両と比べて少なくなります。
モ:電動車です。モーターがある車両を指します。「モーター」のモ、です。編成表では、M(moter)で表されます(主制御器のあるものがM、ないものがM')。床下にモーターがあることから、他の車両と比べて走行音は大きくなります。
クモ:制御電動車両です。すなわち、運転台のあるモーター付き車両のことです。編成表では、Mc(moter + controller)やCMで表されます。ちなみに、両方に運転台がある場合は cMcです。
サ:附随車のことで、運転台やモーターを持たない中間車のことです。諸説ありますが、「差し込む」「挟まる」「差し挟まって走る」のサ、とも、「候ふ(お仕えする)」のサ、とも、「Subordinate(随行)」のサ、ともされます。編成表ではT(trailer)です。モーターがないことから、走行時の音がもっとも小さい車両です。
車両の用途です。
イ:旧一等車で、現存しません。
ロ:グリーン車のことです。旧二等車で、特別料金を徴収します。
ハ:普通車のことです。旧三等車で、(特急料金や指定席料金などではなく、席代金としては)特別料金を徴収することはありません。
ロネ:A寝台車(旧一等寝台車)です。「寝る」のネ、です。
ハネ:B寝台車(旧二等寝台車)です。
シ:食堂車またはビュッフェ付き車両です。「食堂」のシ、です。
ユ:郵便車です。単に配送するだけでなく、職員による仕分け機能もありました。「郵便」のユ、です。
ニ:荷物車両です。「荷物」のニ、です。
エ:救援車です。「救援」のエ、です。事故の際の復旧機材を積んだ車両です。
ヤ:職用車です。線路の試験車や牽引用などの非営業用の車両です。「役所」のヤ、です。
ル:配給車です。車両工場から車両基地へ部品などを輸送するための車両です。「配る」のル、です。
車種・用途の順に、記号を上記の並びで表記します。
(例)クハ:運転台のある普通車、モハ:モーターのある普通車、サロ:モーターがないグリーン車
また、複数の用途を持つ車両を合造車と呼び、この場合は記号を上記の順番で重ねて表記します。
(例)クロハ:運転台があってグリーン車と普通車が混合している車両、クモハユニ:運転台のあるモーター付きの普通車と、郵便車・荷物車が合わさっている車両
その電車の電気方式を表します。1~3が直流、4~6が交直両用、7~8が交流、9が予備です。
用途に応じた種別を表します。0~4が通勤形・近郊形、5~8が急行・特急形、9が試験車です。
同一の系列内で基本を奇数とし、電動車の主制御器のある・なし等の区別の必要に応じてそれよりも1少ない偶数を用います。
例えば「モハ113」といった場合は、系列113系のモハ(モーター付き・普通車)で、形式は「113形」(直流・近郊用電車)であることを表します。「モハ112」の場合は、上記の「系列呼称」の例に基づくと系列は"113"系のモハ(モーター付き・普通車)で、形式が「112形」(直流・近郊用電車)であることを表します。ちなみに「モハ112形」はモハ113形やクモハ113形とユニットを組む電動車で、パンタグラフや電動発電機、空気圧縮機を搭載した形式です。
原則として、1から順番に付番していきます。
例えば「クハE233-1」といった場合は、系列E233系統のクハ(制御・普通車)で、形式は「E233形」(直流・近郊用電車)、1号車(製造1番目)であることが分かります。クハE233-1は、中央線快速の通勤車両です。
ただし、路線別の設計変更などにより形式変更ではない形で車両を区分する場合は(形式未満での区分)、千や百の単位で番号を飛ばして番台を分けることもあります。
例えば「クハE233-1001」は、系列E233系統のクハ(制御・普通車)で、形式は「E233形」(直流・近郊用電車)、設計変更をした1000番台の1号車(製造1番目)ということになります。クハE233-1001は、京浜東北線・根岸線の通勤車両で、1番台と比して「ドア開閉ボタン」がないなどの差があります。