1960~70年代
演芸ブーム(1960年代)、コント番組(1960年代後半~1970年代)、ドリフ世代
ハナ肇とクレージーキャッツ(ハナ肇、植木等、谷啓)、コント55号(萩本欽一、坂上二郎)、ザ・ドリフターズ(いかりや長介、加藤茶、高木ブー、仲本工事、荒井注、志村けん)、てんぷくトリオ(三波伸介・伊東四朗・戸塚睦夫)、やすきよ(横山やすし・西川きよし)、中田カウス・ボタン、七代目立川談志、六代目桂文枝、五代目三遊亭圓楽、林家三平、笑福亭仁鶴、笑福亭鶴光、月亭可朝、桂枝雀、上岡龍太郎
『シャボン玉ホリデー』、『8時だヨ!全員集合』、『欽ドン!良い子悪い子普通の子』、『欽ちゃんのどこまでやるの!』、『笑点』
ドリフと欽ちゃんに代表される「テレビのお笑い」の開拓世代。作り込まれた舞台コントが「ドリフ」、アドリブを交えた当意即妙の笑いが「欽ちゃん」であった。当時のテレビ界の中心は歌手・俳優で、お笑いは「下」に見られていた時代にあって、視聴率や人気でその存在感を知らしめた。
1980年代序盤~1980年代中盤
漫才ブーム、毒舌、お笑いBIG3
ビートたけし(ツービート)、明石家さんま、タモリ、笑福亭鶴瓶、明石家さんま、関根勤、小堺一機、高田純次、大竹まこと、所ジョージ、オール阪神・巨人、B&B、島田紳助、間寛平、山田邦子、大竹まこと、コント赤信号(渡辺正行、ラサール石井、小宮孝泰)、そのまんま東
『THE MANZAI』、『オレたちひょうきん族』、『森田一義アワー 笑っていいとも!』
いわゆる「お笑いBIG3(タモリ、さんま、たけし)」を頂点とする世代。寄席演芸の中では傍流となっていた漫才が爆発的なブームとなり、「しゃべり」や「楽屋ネタ」を含んだスピーディーで毒を含んだ刺激的な笑いが中心となっていく。
1980年代中盤~1990年代前半
深夜番組ブーム、女子大生(素人)ブーム、NSC1期生、とんねるず・ウッチャンナンチャン・ダウンタウン
とんねるず(石橋貴明、木梨憲武)、ダウンタウン(浜田雅功、松本人志)、ウッチャンナンチャン(内村光良、南原清隆)、久本雅美、柴田理恵、中山秀征、今田耕司、東野幸治、浅草キッド(水道橋博士、玉袋筋太郎)、勝俣州和、爆笑問題(太田光、田中裕二)、ホンジャマカ(石塚英彦、恵 俊彰)、ダチョウ倶楽部(肥後克広、寺門ジモン、上島竜兵)、出川哲朗、ピンクの電話(竹内都子、清水よし子)、清水ミチコ、野沢直子
『オールナイトフジ』、『夕やけニャンニャン』、『とんねるずのみなさんのおかげです』、『夢で逢えたら』、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』、『ダウンタウンのごっつええ感じ』、『ダウンタウンDX』、『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』、『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』
漫才ブームの終焉後に登場した、とんねるず・ウッチャンナンチャン・ダウンタウンを代表とする世代。「人を笑わせる」ことの前提に、「自分たちが面白いこと」を自分たちが愉しみ、それを見ている観客・視聴者がまたその「空気」を愉しむ、という"儀式"があって、その「空気を共有する」ことによる「笑い」を発掘した世代といえる。
特にとんねるず・ウッチャンナンチャン・ダウンタウンは、それぞれ長寿の冠番組を持ち、「とんねるずの笑い」「ダウンタウンの笑い」「ウッチャンナンチャンの笑い」でそれぞれ”派閥化"が起こった(観客も、演者も)。その派閥独特の「笑いの文脈」があり、それを受け容れられるかどうか、という「目利き」が視聴者側も問われることとなった。
1990年代中盤
バラエティ番組、ロケ番組、ボキャブラ世代
ナインティナイン(岡村隆史、矢部浩之)、ネプチューン(名倉潤、原田泰造、堀内健)、くりぃむしちゅー(上田晋也、有田哲平)、ロンドンブーツ1号2号(田村淳、田村亮)、雨上がり決死隊(蛍原徹、宮迫博之)、さまぁ~ず(三村マサカズ、大竹一樹)、千原ジュニア、よゐこ(濱口優、有野晋哉)、博多華丸・大吉、カンニング竹山、キャイ~ン(天野ひろゆき、ウド鈴木)、FUJIWARA(藤本敏史、原西孝幸)、山口 智充、ココリコ(遠藤章造、田中直樹)、猿岩石(有吉弘行)
『タモリのボキャブラ天国』、『進め!電波少年』、『めちゃ×2 イケてるッ!』、『ぐるぐるナインティナイン』
コントや漫才に限らず、『電波少年』に代表される過酷なロケなど、「お笑い番組」が、多種多様な「笑い」を追求する「バラエティ番組」に脱皮した世代。つくられた舞台やスタジオの「外」に飛び出し、現場のありのままの状況を「笑い」に転嫁させる手法は、見ているものにとって肌感のある「同場所性」や「同時代性」を浮き彫りにし、視聴者の「共感」を引き出すとともに、「作られたもの」から「リアル」を笑いにするという新機軸の笑いにつながった。
2000年代
ネタ見せ番組、M-1世代、一発屋芸人、リズムネタ
バナナマン(日村勇紀、設楽統)、サンドウィッチマン(伊達みきお、富沢たけし)、バカリズム、劇団ひとり、ブラックマヨネーズ(小杉竜一、吉田敬)、中川家(剛・礼二)、フットボールアワー(岩尾望、後藤輝基)、タカアンドトシ、おぎやはぎ(小木博明、矢作兼)、ガレッジセール(川田広樹、ゴリ)、アンガールズ(田中卓志、山根良顕)、アンジャッシュ(児嶋(大島)一哉、渡部建)、陣内智則、ケンドーコバヤシ、レイザーラモンHG
『爆笑オンエアバトル』、『エンタの神様』、『M-1グランプリ』、『R-1グランプリ』、『キングオブコント』、『はねるのトびら』、『ザ・イロモネア』、『あらびき団』
「若手お笑い芸人ブーム」に彩られた世代。漫才やコントの審査番組のほか、「ネタ見せ」番組が激増し、「短いネタをたくさん流す」ことがテレビにおける「お笑い番組」の中心となっていく。必然的に、ショートコントや一発芸、奇抜なキャラネタ、リズムネタなどが大量に生み出され、「ピン芸人」や「一発屋」も急増した。
2000年代中盤~2010年代
テレビ離れ、コンプライアンス、お笑い長寿番組の終了、トーク番組、ひな壇芸人、レッドカーペット世代、アメトーク世代
オードリー(若林正恭、春日俊彰)、千鳥(ノブ、大悟)、南海キャンディーズ(山里亮太、しずちゃん)、ナイツ(塙宣之、土屋伸之)、バイきんぐ(小峠英二、西村瑞樹)、NON STYLE(石田明、井上裕介)、平成ノブシコブシ(吉村崇、徳井健太)、U字工事(福田薫、益子卓郎)、パンクブーブー(佐藤哲夫、黒瀬純)、麒麟(田村裕、川島明)、かまいたち(山内健司、濱家隆一)、ハリセンボン(近藤春菜、箕輪はるか)、狩野英孝、ハライチ(岩井勇気、澤部佑)、阿佐ヶ谷姉妹、ピース(又吉直樹、綾部祐二)、ジャルジャル(後藤淳平、福徳秀介)
『爆笑レッドカーペット』、『アメトーーク!』、『人志松本のすべらない話』、『しゃべくり007』、『水曜日のダウンタウン』、『ロンドンハーツ』
2000年代後半から続く『爆笑レッドカーペット』を起点とする世代。しかし「ショートネタ」の消費速度は加速度的に高まり、同番組を含め、前世代から続くネタ見せ番組は相次いで終了することとなった。また、一世を風靡した長寿バラエティ番組が相次いで終了(『笑っていいとも!』『めちゃイケ』『みなさんのおかげでした』など)し、「テレビ離れ」が顕在化した 時期でもある。
この年代は『アメトーーク!』に代表される、トークが中心のバラエティ番組への移行がすすみ、いわゆる「ひな壇芸人」というジャンルが注目を集めるようになった。 さらに先行して活躍していた芸人の"落ち着き先"が、『スッキリ』『ヒルナンデス』『ノンストップ!』『ひるおび』など、午前~昼間の情報番組の司会者、というケースが目立つようになってきたのもこの頃からである。一方では、「テレビ離れ」を逆手にとって、テレビでは表現できないものを、ネット配信によって届けるという試みもはじまった(『ドキュメンタル』など)。
コンプライアンス意識の浸透で、島田紳助の引退、「お笑い芸人による闇営業問題」などの象徴的な事案が相次いで起こったのもこの時代。いずれにしても、「テレビでの笑い」のありかたが質的に大きく変容した世代であることは疑いない。
2020年代
デジタルネイティブ、Youtube、ゆとり世代、平成生まれ
霜降り明星(せいや、粗品)、ハナコ、ゆりやんレトリィバァ、宮下草彅、EXIT、四千等身、かが屋
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ダウンタウンなどのいわゆる「大御所芸人」の影響をほぼ受けずに育ったとされる初めての世代。物心がついた頃からインターネットが普通に存在していたことから、「地上波テレビ」へのあこがれや絶対視はまったくなく、 ネット配信やYoutubeなどとの親和性も高い。
また、すでに少子化・コンプライアンス時代の申し子であることから、旧世代の上下関係への頓着、「体を張るタイプ」の笑いへの追求も薄いとされる。 高度成長期の出世競争的な「野心的なプロセス」で「国民的人気を得る」ことを前提とした笑いではなく、「自分の好きなことがたまたま笑いになればOK」「万人に受け入れられなくても結構」というポスト競争型の笑いに転化している 傾向も顕著である。