日本における6つの主要な法典です。「憲法」「民法」「商法」「刑法」「民事訴訟法」「刑事訴訟法」を指します。
日本の法体系は、「日本国憲法」を頂点としたピラミッド型で構成されています。 国会の定める法律と、その他行政機関による命令を合わせて「法令」と言います。以下、法規としての効力の強い順に解説します。
国の最高法規です。憲法に違反するすべての法令は無効です。
国家間や国際組織間で締結される国際法で、国会の議決に基づき交付されることで、国内法としての効力を持ちます。
国会の議決を経て定められる国の規範です。法律に反する一切の命令や条例は無効です。
法律に基づき、行政機関が制定する規範です。内閣が制定する「政令(施行令)」や、各省が制定する「省令(施行規則)」などがあります。政令は法律の規定を実施するための「執行命令」と、法律の委任に基づいて制定される「委任命令」があります。省令は、法律や政令で規定していない細部の事項を定める命令です。
法律の範囲内において、地方自治体が定めるその地方に適用される規範です。
語義は「国民に広く知らしめること」です。憲法第7条において、「国会議員の総選挙の施行を公示すること。」と定められた天皇の国事行為です。
省庁の長が、所管事務に関する法令解釈・運用、行政執行の方針について関連機関・職員に命令するものです。
省庁から、特定または不特定多数に対して、法令の解釈・運用や行政執行の方針・手続きなどの特定の事項を知らせることです。
省庁から、通知の内容を国民にひろく知らしめる必要がある場合は、「告示」として「官報」に掲載されます。法律に告示の根拠がある場合は、その効力が省令等に準ず るとされる場合もあります(学習指導要領など)。
法令の本体を「本則」と言います。施行期日や当該の法律が制定されることに関係する法令改正等についての記述、法律施行に当たっての経過措置などの情報は、「附則」として本則の後ろに配置されます。
「条」を基本単位として構成します。規模の大きな法律では、内容ごとに整理し、「編」→「章」→「節」→「款」→「目」→「条」と細分化して配置されることがあります。
また、条の前には、括弧によって、条文の内容を簡潔にまとめた「見出し」を付与することがあります。
基本は第一条、第二条・・・と続いていきます。条文が長くなる場合は、「項」→「号」と細分化していきます。
項は、第1項には付番せず、第2項以降に2、3、4・・・と「アラビア数字」で項番号を付与します。
号は、第一号から一、二、三・・・と「漢数字」で付番していきます。
号からさらに細分化する場合は、イ、ロ、ハ・・と「カタカナ」でイロハを付与し、さらに細分化する場合は(1)、(2)、(3)と「括弧+アラビア数字」を付番します。
なお特定の条に追記事項があった場合は、第○条の二、などと「の+漢数字」をつけて条への枝番号を設定する場合があります。実務上、「条名を大きく変更しない」ほうが都合がよいことが理由です。同様の理由で、条文に削除があった場合は「第○条 削除」などの表記を行う場合もあります。ただし、経年で条文が複雑怪奇になりすぎた場合は、これらの枝番号を含めて抜本的に条文が整理されることもあります。
条文の最初の文を前段、真ん中の文を中段、最後の文を後段と言います。また、文章A+「ただし」文章B、という表記があったとき、前半(A部)を「本文」、後半(B部)を「ただし書」と言います。
接続関係を表すとき、「又は」は常に用いられる語で、「若しくは」は接続の関係をさらに細分化したものです。
<A又はB若しくはC>、という条文の場合は、「A」 or 「B or C」というくくりになります。
並列関係を表すとき、「及び」は常に用いられる語で、「並びに」は並列の関係をさらに細分化したものです。
<A及びB並びにC>、という条文の場合は、「A」 and 「B and C」というくくりになります。
※なお、並列に「かつ」を充てる場合もあります。使用に明確なルールはありませんが、並列の関係を強調したいときに用いられることが多いとされます。ただし文と文をつなぐときは、<A文、かつ、B文>と、読点で区切るきまりがあります。
「その他の」は包摂関係を表し、「その他」は並列関係を表します。
<A、B、その他のC>、という条文の場合は、「A」と「B」があって、「その他のC」はAとBを含むカテゴリを表します(その他のCの範疇にA・Bが含まれる)。 ⇒ 「東京、大阪、その他の大都市」(「その他の大都市」の中に東京と大阪が含まれている)。
<A、B、その他C>、という条文の場合は、「A」と「B」と、「その他C」がそれぞれ並列している関係を表します(A、Bはその他Cには直接含まれない)。⇒ 「東京、横浜、その他指定した地域」(「その他指定した地域」とは東京と横浜は独立して存在している)。
その数を含む場合は「以上」と「以下」、含まない場合は「超える」と「未満」を使います。
その時間を含む場合は「以前」と「以後」、含まない場合は「前」と「後」を使います。⇒「30日後」は「30日」を含まず、「30日以後」は30日を含みます。
また、「から」はその時間(起点)を含まず、「から起算して」はその時間(起点)を含みます。⇒「翌日から30日後」は「翌日」と「30日」を含まず、「翌日から起算して30日以後」は「翌日」と「30日」を含みます。
「者」は人格を有する存在(自然人、法人)を、「物」は有形物(動物、物件)を、「もの」は「者」や「物」以外のものを指します。
「場合」は仮定の条件、「とき」も仮定の条件ですが、「場合」の下でさらに条件を加えるときに「とき」を続けます(<Aの場合において、Bのとき、Cのとき・・・・>)。
なお「時」は、過程条件氏は使用できず、ある特定の時点や時間を表します。
「推定」は、一応事実として置くものの、事実と異なる証拠がある場合はその推定が取り消されることです。
「みなす」は、実際には異なるものを同一のものとして扱うことです。それを否定する証拠の有無にかかわらず、法的にみなされたものを覆すことはできません。
「適用」は、ある別の条文の規定を、別の条文の規定にもそのまま当てはめることです。
「準用」は、ある別の条文の規定を、類似する他の事項について、必要な修正を加えることで適用(借用)して用いることです。
「公布」は、法令を国民に知らしめることです。日本国憲法第7条に「憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること」と定められた天皇の国事行為です。具体的な手続きとしては、「官報」に法令が掲載されることを以て「公布」としています。なお、実務上、省令以下の法令については、その法令の制定権者が周知を担います。
「施行」は、制定された法令の効力が発動することです。公布日に施行されるもの、公布日以降に施行されるもの(その法令の性格や社会的影響の度合いを鑑み、条文中に具体的な施行日を定めたり、施行時期を定めたり、施行時期の範囲を政令に委任したりなど様々です)があります。公布されても施行されていない法令は「未施行」であり、法としては無効です。