体温調節
真冬に「暖をとる」、真夏に「身体を冷やす」ことは、避難生活において極めて重要なサバイバルです。寒気対策や熱中症予防に活用できるものをまとめました。
寒い!-断熱素材の活用
身に着けるものとしては、新聞紙、アルミホイル、ラップ、ハンカチやタオル、気泡緩衝材(プチプチ)が、床に敷くものとしては段ボールや発泡スチロールが断熱素材として有用です。
- 足元が冷えるときは、靴下の上に新聞紙などを巻き、その上にさらに靴下を重ねます。
- 下半身が冷えるときは、ちぎってくしゃくしゃに丸めた新聞紙をポリ袋に詰め、下半身を入れ、ポリ袋の口を綴じることで暖かくなります。
- お腹が冷えるときは、新聞紙を下着の上からお腹にくっつけて、ラップを巻き付けることで簡易腹巻となります。
- 上半身が冷えるときは、新聞紙を複数枚羽織り、ガムテープで留めることで簡易ジャンパーとなります。
- 底冷えするときは、段ボールを敷くだけで暖かくなります。
- 隙間風が気になるときは、発泡スチロールで隙間を塞ぐことで簡易断熱ができます。ただし換気には十分留意しましょう。
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お湯を作ることができる場合は、沸騰した熱湯と水を1:1の割合で混ぜ、ペットボトルに注ぐことで簡易湯たんぽになります(熱湯だけだとやけどのおそれあり)。また低温やけど防止のため、必ず厚手のタオルを巻きます。
体温調節のポイント
身体のどの部分を温める(冷やす)ことで効率的に体温調節できるかをまとめました。
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首には太い血管が通っています。寒いときはマフラーやタオルを巻くことで体温保持に有効です。暑いときはタオルに包んだ保冷剤や氷を当てることで、体温を下げることができます。
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わきの下は皮膚が薄いため、外部から体温調節を行いやすい場所です。寒いときはお湯を入れたペットボトル(簡易湯たんぽ)を脇に挟み、暑いときは保冷剤を挟むのがよいでしょう。
- 尾てい骨の上あたりも、体温調節に有効です。寒いときはカイロを、暑いときは保冷剤を当てるのがよいでしょう。
清潔・感染予防・身体保護
避難所生活になった場合は、密集空間・ストレスによりきわめて病気に感染しやすい環境がうまれます。落下物等で怪我をするだけでなく、怪我の治療が受けにくくなるリスクも高まります。可能な限り清潔や安全を保つ方法をまとめました。
マスク
簡易マスクを準備することで、咳エチケットだけでなく、煙や粉塵等を吸い込むリスクを軽減できます。
- ハンカチを「鼻と口元」に当てます。煙の発生時は、「濡らす手間」よりも、とにかく身を低くして、素早く退避することを意識しましょう。
- キッチンペーパーに輪ゴムを取り付けることで、簡易マスクとすることもできます。
手の感染予防
手洗いが十分にできない環境では、特に「素手を清潔に保つ」ことも重要です。他者の傷の応急手当などをする際は、二次感染防止のためにも「ゴム手袋」を使うことが推奨されます。
- ゴム手袋が確保できない場合は、清潔なポリ袋で代用することもできます。
足の保護
足場が悪い被災地では、泥や泥濘に足を取られたり、水たまりに落ちたり、落ちている釘や破片を踏み抜いたりと、想像以上に足場が悪くなっていることが多いとされます。平時以上に「足元を守る」ための方法です。
- ポリ袋を靴の上(できればくるぶしあたりまで)にかぶせ、ゴムや紐で結ぶことで、「簡易長靴」となって靴やひざ下までがぬれることを防げます。
- 靴底に板を敷いてひもで縛ることで、「簡易安全靴」として、釘やガラスの破片などを踏み抜くことを防ぎます。瓦礫の上を歩くときに有効です。
- 「簡易長靴」「簡易安全靴」を組み合わせることで、簡易の「防水型作業靴」となります。
身体を拭く
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アルコールや清拭材をティッシュやタオルに吹きかけることで、簡易なウェットティッシュになります。身体全体はおくとして、少なくとも「手」は清潔にするよう心がけましょう。
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ガーゼやティッシュを指に巻き付けて、歯の表面をザラつきがなくなるまでこすることで簡易歯磨きとなります。仕上げに歯ぐきや舌も拭うとよいでしょう。水があれば、前後で口をすすげるとなお清潔です。
トイレ
トイレが使用できない場合の対処法についてまとめました。
配管が壊れるなどして排水できない場合
- 便座を上げて、便器をポリ袋で覆います。その上にさらにポリ袋を重ね、細かく砕いた新聞紙を敷きます。用を足したら、2枚目のポリ袋ごと廃棄します。
断水しているが排水はできる場合
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バケツ1杯程度の水で排泄物を流すことが可能です。和洋式でタンク式の場合はタンクの中へ注水し、洋式でタンクレスの場合は便器へ直接水を流します。和式トイレでタンクが見当たらない場合は、排水レバーを押しながら便器に注水することで排水が可能です。
- 可能な限り水を節約するため、小便は複数人分(少なくとも家族単位で)まとめて流し、トイレットペーパーは別途ゴミとして廃棄するのがよいでしょう。
トイレそのものが使用できない場合
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段ボール箱や、大型のバケツをポリ袋で覆います。その上にさらにポリ袋を重ね、細かく砕いた新聞紙を敷きます。用を足したら、2枚目のポリ袋ごと廃棄します。
おむつがない場合
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レジ袋を1枚に開き、まん中に清潔なタオルなどを敷きます。赤ちゃんを寝かせたら、上側の持ち手部分を赤ちゃんのお腹の上で結びます。下の持ち手部分を、お尻からお腹の前に持ってきて、結び目の下に入れ込みます。排泄時には、袋ごと廃棄します。
ナプキンがない場合
- 清潔なタオルハンカチを下着の大きさに折り、まん中にティッシュや余り布を敷きます。
- タオルハンカチがない場合は、ラップで下着をくるみ、まん中にティッシュやトイレットペーパーを折り重ねます。
灯り
暗い中で可能な限り「灯り」をとるための方法です。
ツナ缶ランプ
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シーチキン(油漬けのもの)の缶に小さな穴を開けます。こより状によったティッシュを、ツナ缶の2.5倍くらいのサイズにして穴に差し込みます。油が染みたら、マッチやライターで点火します。
- 使用後のツナ缶はそのまま食べることが可能です(燻ったような風味になるだけで、健康上の害はありません)。
簡易ランタン
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ペットボトルの上部を切り、懐中電灯を切ったペットボトルに立てて入れ、その上に水を入れた別のペットボトルを重ねることで、簡易ランタンになります。ペットボトルを安定して重ねられるように、懐中電灯を入れたペットボトルには切れ込みを入れておくとよいでしょう。
- 懐中電灯に白っぽいポリ袋(レジ袋など)をかぶせると、光を広げることが可能です。
電池のサイズを変更する
懐中電灯を使おうと思ったら電池切れ・・・。しかも電池は「単一」や「単二」で、家には「単三」しかない!というときに役立つ方法です。
- 単三を単二にするには、単三電池の周りに布を巻き付け、厚さが2.6cmになったところでセロハンテープなどで止めます。
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単三を単一にするには、上記と同様に厚さが3.4cmになるまで布を巻き付けてセロハンテープなどで止めます。また、導電素材で高さを調節します(プラス極・マイナス極どちらでもよい)。素材は「アルミホイル」を丸めたものが使いやすいですが、「被覆を剥いた針金」でも、「1円玉7枚」や「10円玉7枚」(セロハンテープで縦に止める。ただし異素材同士は無効)でも対応可能です。
水と食事
水や食事を、可能な限り清潔に摂取できる方法です。
水道水の保存
水道水は塩素消毒されているため、清潔なペットボトルに口元いっぱいまで詰めた状態で、直射日光を避けて常温保管することで、2~3日程度は飲用もできる水として活用できます。ただし浄水器を通した水や煮沸した水は塩素がなく消毒効果もないため、日持ちはせず、飲用水としては原則として毎日取り換える必要があります。
生活用水の保存
風呂の水は飲用には不適ですが、トイレや洗濯、掃除に活用できます。
水の運搬
- 清潔なポリタンクやペットボトルを用意できない場合は、容器にポリ袋をかぶせることで清潔に水を運ぶことができるようになります。
食器の使い回し
- 食器は、ラップやポリ袋などでくるむと洗い物が不要となります。
- 使い捨ての食器でも、物資不足を防ぐために使い回すことが推奨されます。
食器を作る
- 2Lペットボトル(四角いもの)は、分解することで「お皿」にできます。ラップをかぶせれば清潔に使い回しが可能です。
- ペットボトルを半分に切ると、下部を「コップ」にできます。洗いやすくなりますし、ラップをかぶせれば清潔に使い回しが可能です。
睡眠
睡眠環境を整えることは、体力回復・ストレス軽減にとって極めて重要なファクターです。睡眠の質を高めるための方法です。
ベッドをつくる
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ブルーシートを敷き、アルミ製の断熱材、段ボール、発泡スチロールと重ねることで断熱性とクッション性の双方を満たした簡易ベッドになります。最低限、「段ボール」があるだけでも断熱効果を得られます。
- 上掛けには、複数枚の新聞紙を用いることで断熱効果があります(また、素材としても軽いです)。
枕やクッションをつくる
- 体育館にあるボールは、空気を抜いて形を整えることで枕になります。
- ポリ袋に空気を入れ、口を結ぶことでクッションになります。好みの固さになるまで調整しましょう。
レクリエーション
ただでさえ窮屈な避難生活中に、準備不要な「遊び」は「気晴らし」として極めて重要です。
特別な道具を必要としない遊び
- 言葉遊び:しりとり、マジカルバナナ(連想ゲーム)、伝言ゲーム
- 手遊び:じゃんけん、あっちむいてホイ、指を立てて数を当てるゲーム、いたちごっこ、「ずいずいずっころばし」「アルプス一万尺」などの手遊び歌
- 身体の遊び:にらめっこ、ジェスチャー伝言ゲーム
- 動き遊び:だるまさんが転んだ、鬼ごっこ、かくれんぼ、高鬼・色鬼・氷鬼、フルーツバスケット、かごめかごめ、ハンカチ落とし、じゃんけん列車
新聞紙などを使った遊び
新聞紙を丸めて「ボール」、新聞紙を棒状にして「スティック」を作ると、身体を動かす様々な遊びに応用することができます(新聞紙だけでなく、段ボールなどでも代用可)。
- 「ボール」を使用:ボール投げ、ドッジボール、ラリーテニス(手打ちでよいが、段ボールで「ラケット」を作るのもよい)
- 「ボール」と「スティック」を使用:野球(スティックを使用せず、「手打ち野球」でもよい。段ボールで「ベース」を作るのもよい)
- 「スティック」を使用:チャンバラごっこ(段ボールで「盾」を作るのもよい)
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