昔、娘の幼稚園で「学芸会」の主役を決めるときに、オーディション形式を導入していると聞いて驚いた。
立候補した数名を前に立たせ、いくつか台詞を言わせて、それをクラスメイトたちが挙手制によって投票するのだという。
「もっともよかった人」「次によかった人」に1票ずつ、そして「もっとも悪かった人」に1票を投じる(当然、票からはマイナスされる)仕組みとのことで、多数決の弱点である「反対意見をくみ取ることが困難」を見事に解消している。
ゆとり時代に騒がれた「手をつないでゴール」からずいぶんと時代は変わり、「勝ち抜き」という市場原理が幼稚園の学芸会にも導入されたわけである。私なんかは、変に子どもに主導権など与えず、先生が勝手に決めればいいのにと思うわけだが・・・(「どうしたら主役に選ばれるか」を考えることは、「どうしたら上司に高評価をもらえるか」の相似形であるからいつか仕事の役に立つのである)。
ちなみに我が子は最初から「町の人役」をやることを強く熱望したそうで、ちゃっかり第一希望を射止めていた。変に色気を出して、オーディションで落ちたらショックも増えるばかりだ。このリスク回避術、どこで覚えたのだろうか。この先ストレスなく生きていくには、「目だちすぎない」ことも一種の処世術である。
2022年11月22日