19年8月2日未明に「消費税ブギ」という記事を投稿した。その数時間後、2日の日中のニュースが、これだ。
・「夏のボーナス3.4%下落 経団連の最終集計」(朝日)
・「夏のボーナス3%減」(日経)
景気が良いのにボーナスが下がるということはあり得ない。どう取り繕っても、景気は決して良くなっていない。実額こそ過去2番目の水準だというが、物価も社会保障費も上がっている中で、「実額」なぞ何の意味もない。官製で株価や賃金、東京一極集中現象で不動産価格、自由貿易の均衡破綻で輸入物価がそれぞれ高騰しているだけで、内需は何1つ改善されていないのだ(余談だが、「働き方改革」で残業代頼みの家計が狂ってきているのも要因だろう)。
ここへきて消費増税だ。普通の感覚では、たぶん家計にとどめを刺す一撃になると直観されるわけだが、それでももはや「賛成か、反対か」の領域ではない。「どう影響をするか」だけを考えるべきフェーズに入った。
財務省は、「景気に左右されない財源を確保し、税収の安定化を図ることを以て、国家国民の安寧を図る」ことがレゾンデートルだ。「安定した財源の確保」と聞くと、何となく、理屈では分かったような気もする。
しかし、よくよく考えてみると、これはすなわち「国は景気を安定させることではなく、どんなときでも税を徴収できる仕組みづくりを優先します」と言っていることと同義である。
そもそもの「国家の繁栄と国民の福祉増進のために税金を徴収する」のではなく、「税金を安定して徴収するために、税金を徴収しやすい仕組みをつくる」というループした状況が目の前にはある。「安定財源の確保」が絶対のアイデンティティになってしまったのだ。これを「手段の目的化」と言わずして、何というのだろうか。
圧倒的大多数の国民が、少数精鋭の秀才頭脳集団の構築した強靭な理屈に勝てるわけがない。ここで国民ができることはただ1つ。家計防衛である。
今の政権は現状改善主義、すなわち「よりまし」の民意で存立している。深刻に景気が悪化すれば、民意は容易に靡く。その萌芽は、今回の参院選でもすでに顕れはじめている。超低投票率であるにもかかわらず、与党で(当然行くと思われていた)3分の2を確保できず、「N国」が国政に進出したことからも明らかだ。
「現状の良化」に現政権の支持基盤がある以上、「現状の悪化」によって、政策転換の芽が生まれるのである。だからしてドラスティックに「家計防衛」をすることで、政策対処のスピードを早めるべきなのだ。これが逆説的ではあるが、消費増税を乗り切るための解なのだと信ずる。
公開:2019年8月3日