私が小さい頃は、NHK教育の『おかあさんといっしょ』とフジの『ひらけ!ポンキッキ』が2大幼児番組であった。で、その認識のまま大人になるわけだが・・・
今はNHKEテレで乳幼児向け番組の細分化が進んでいる。ざっくり、『いないいないばあ』→『おかあさんといっしょ』→『みぃつけた!』という進級ステージを踏んで設計されているようである。
『いないいないばあ』の主人公である緑色の着ぐるみ「ワンワン」。名前くらいは知っていたが、実際に自分の子どもがそれに触れる年齢になってはじめて、その偉大さ(子どもへの影響力)を知った。「アンパンマン」の偉大さ(影響力)を親になって知るのとまったく同じだ。
「ワンワン」の中の人は、すでに還暦を超えたチョーさんだと知って、私は仰天した。チョーさんと言えば、私が子どものころ大好きだった番組『たんけんぼくのまち』の主人公。この番組で私は「社会科」好きを加速させたと言っても過言ではない。
余談だが、チョーさんは犬が大の苦手という設定だ。私も子どものころは野良犬に追いかけられまくっていたから、そういうところからも親近感を覚えていた。「犬が苦手なチョーさんが、今は犬役をやっている」というのがもう、最高にたまらない。
そんな思い出深いチョーさんが出ているならいい番組に違いない、と思って子どもと一緒に見始めた『いないいないばあ』。今ではすっかり、私が猛烈な大ファンになってしまった。
どれくらい好きかというと、DVDを買い(もちろん20周年DVDも)、CDを買い、奥さんよりも子どもよりも詳しくなってしまったくらい、、は好きだ。「全国サラリーマン『いないいないばあ』が好きな人選手権」があれば、上位10傑に入るくらいは好きだ。
さて。ワンワンには子役の女の子が「おねえさん」としてつく。2019年3月までは、その役を「ゆきちゃん」という子がつとめていた(6代目)。
登場時はとにかく「丸く」、いかにも「1年生になったばかりです」という感じ丸出しだったのだが(「幼児に毛が生えたような」という表現がぴったり)、この1、2年で背も伸びて、完全に女の子になった。
特に衝撃だったのは名曲『ポポポポポーズ』や『ペンギン☆ペンギン』をみたとき。あきらかに今までのゆきちゃん像と違った成長を見せてくれていて、彼女が雄々しく成長する姿を、思わず我が娘に投影してほほえましく感じたのであった。
いないいないばあの不文律として、「4年でおねえさんを交代する」というのがある。ゆきちゃんの成長をみて、調べてみると2019年3月末で「4年」。昨年の夏前くらいから、私は妻と「多分、来年で交代あるね」と話題にしていた。
決定打だったのが、毎年度末に発売されるその年の総集編のDVDを見たとき。発売予定のメニューに「ゆきちゃんのおもいで」というコーナーがあったので、これでゆきちゃん卒業を確信(実際にDVDも発売日に買ってすぐチェック。内容はどう考えても「ゆきちゃんありがとう」というつくりであった)。これが概ね年明け。
さらに、毎月末の日曜日に放送されるスピンオフ(出張公演)である「ワンワンわんだーらんど」の2019年度の出演予定に「ゆきちゃん」の名前があって、さらに状況を確定的にした(「ワンワンわんらーらんど」は「いないいないばあ」のおねえさんが卒業後に4年間出演するのがこれまた不文律になっている。ここに出演している先代の「おねえさん」、ゆうなちゃんの卒業もこれで確定したわけだ)。
ということで、3月の最終週は、仕事中であっても「ゆきちゃんが卒業してしまうんだ・・・」という寂しい思いで過ごした。『いいないばあ』をすべて録画し、仕事帰りに見る(子どもにを気にせずに自分だけでみたい)というちょっと怪しい「いないいないばあおじさん」に変身したのだ!
初期のゆきちゃんの映像、過去の名曲などを散りばめてゆきちゃんの4年間の貢献に敬意を払いつつ、子どもにショックを与えないよう、小出しで後任の7代目おねえさん「はるちゃん」を紹介していく、というなかなか粋な演出だった。
月曜日。番組ラストに「なぞの女の子」としてはるちゃん登場。名前なし。ゆきちゃんとの絡みもなし。
火曜日。番組中盤に「ワンワン」とはるちゃんの絡みあり。はじめて名前の紹介。ゆきちゃんとの絡みなし。
火曜日はたいそうのうた「わーお!」もおそらく最終回と思われる。というのも、これまでは毎回流れていた「わーお!」が、当週はこの1回だけだったからだ。
このところたいそうのうたは、おねえさん2回分(つまり8年サイクル)が不文律になっており、おそらく19年度からは新曲に切り替わる(予想)。これも、毎回楽しみにしている子どもにショックを与えないように静かにフェードアウトさせていく作戦なのだと思われる。
水曜日。番組中盤で「ワンワン」とはるちゃんのもう少し長めの絡みあり。
木曜日。ついに「ワンワン」だけでなく、ゆきちゃんとはるちゃんのコラボ。番組後半で「これまでの思い出」をゆきちゃんが描いて、VTRにつなげるという演出があり、「いないいないばあおじさん」を泣かせやがった!!!
金曜日。名曲『だいすきの木』の直後、ワンワン・うーたん・ゆきちゃん・はるちゃんがそろって交代のごあいさつ。ワンワンの言葉がステキすぎて私は感涙したね。曰く「ゆきちゃんは、『いないいないばあ』から『ワンワンわんだーらんど』に<進級>します」と。卒業という言葉を使わず、「進級」・・・うーん、しびれた!!!そのあとうーたんが「進級って、なに?」と聞くと、ワンワンは「進むということです」と。この<進む>という言葉に、チョーさんのゆきちゃんへのやさしさ、今までの思い出を込めたさびしさ、これからへのはなむけ、ねぎらい、そんな複雑な感情を感じ取ったね。そしてホワイトアウトからのエンドロール・・・「いないいないばあおじさん」をこれ以上泣かせるな!!
ということで、平成の御代が代わりゆく年に、「ゆき」から「はる」への交代がなされるわけです。これは象徴的であります。
「ゆきが溶けて、川になって・・・・もうすぐはるですね」そう。季節は春。出会いと別れの季節なのであった。
ゆきちゃん、たくさん本当にありがとう!『ワンワンわんだーらんど』も応援しています!
公開:2019年3月30日