私は幼少の頃から「知識欲」が強く、当時の愛読書は図鑑であった。幼稚園に行っている間は、家で教育テレビを録画(VHSで)しておいてもらい、帰宅後にそれを見る、という生活をしていた。夕方は「たんけんぼくのまち」(チョーさん)や、「あいうえお」などを楽しみながら見ていたのだ。
幼稚園では、業者が様々な「知育グッズ」を斡旋販売している。幼稚園で配本されていた本の中で、親が買ってくれたのだろう、毎月楽しみにしていたのが、世界文化社の「かがくらんど」である。ビジュアル満載で、科学についての知識を楽しく身に着けられる素敵ブック。私は、この「かがくらんど」から様々な知識を学んだのである。
最近、どうしてもそれをまた読みたくなって、「かがくらんど」のアーカイブがどこかに残っていないかを探索した。すると国立国会図書館(の、上野にある分館である「国際子ども図書館」)にしっかり所蔵されていることが分かった。喜び勇んだ私はさっそく足を運び、幼少の頃読んだ「かがくらんど」に再び出会ったのである。
当時、むさぼるように読んでいたので、驚くことに30年近く経っていても、全号、内容を覚えていた。これには自分でも驚いた。
以下が、各号の内容である。せっかくなのでコメント付きでまとめてみた。
号数 | テーマ | コメント(当時得た知識) |
1988年4月号 | あかしろきいろチューリップ | ■チューリップの花を摘むと球根が大きくなること ■オランダでチューリップ狂時代があったこと |
1988年5月号 | どうぶつえんにいこう | ■ゴリラのボスはウイスキーを飲むこと |
1988年6月号 | つめのひみつ | ■爪を伸ばし過ぎるとクルクル回転すること |
1988年7月号 | おいしいね アイスクリーム | ■アイスクリームは日本への輸入当時「あいすくりん」と呼ばれていたこと ■アイスクリームは妊婦にもよい完全栄養食であること |
1988年8月号 | アマゾンだいぼうけん | ■アマゾンには未発見の昆虫がたくさんいること ■背中に数字の書かれた蝶がいること ■アマゾンにはたくさんの果物があること |
1988年9月号 | すいすいとんぼ | ■とんぼの眼鏡は相当な量の複眼であること |
1988年10月号 | まつぼっくり ぽとん | ■植物の種の飛ばし方には様々なバリエーションがあること |
1988年11月号 | ゴーゴー こうそくどうろ | ■サービスエリアは概ね50キロ間隔で設置されていること ■トンネルに信号があること ■消防士はスロープで仮眠室から降りるようになっていること |
1988年12月号 | かみってなあに? | ■「燃えない紙」があること(紙鍋など) ■紙の強度は想像以上に高いこと |
1989年1月号 | みかんのなぞ | ■温州みかんのことを欧米では「テレビオレンジ」と呼んでいること ■みかんは風邪によいこと |
1989年2月号 | さむいくにのどうぶつたち | ■流氷という現象があること |
1989年3月号 | はるをみつけよう | ■ふきのとうという苦い食べ物があること |
1年間ですさまじい量の知識を得ることができた「かがくらんど」。大人向けのコメントが随所にちりばめられており、私はそれも読んでいた。
子ども向けと言いながら知識の内容は安易に妥協せず、非常にクオリティの高い名著といってよい。現代でも通用するレベルの内容で、制作陣の意識の高さを今回、手に取ってみて改めて感じた次第である。
知的興奮を呼び覚ましてくれたかがくらんど。今でも本当に感謝している。
公開:2017年6月5日