ありがとう、こち亀。
秋本治先生の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が、連載40年・単行本200巻の刊行を以て前人未到の偉大なる歴史に幕を閉じた。
このサイトを見てくださる方は「ドラえもん研究」が入り口になって、さらに「看板ネタ」その他を気に入ってそのまま読者になってくださる・・・というパターンが多い(たぶん)ので陰に隠れがちなのだが、管理者としてはドラえもんと双璧をなすくらいに「こち亀」も大好きなのである。
無論、200巻すべて持っている。ついでに言えば藤子・F・不二雄大全集はもちろん全巻持っているが、秋本治の単行本そのものも、基本的にはすべて所持している。「藤子F作品マニア」と同時に、結構な「秋本作品マニア」でもあるのだ(御存じであろうか、秋本治先生の『東京深川三代目』『Mr.Clice』『花田留吉七転八倒』は実に面白い作品である。決して『こち亀』一本の作者ではないのだ)。
話がそれた。どれだけこち亀が好きか。それをお伝えしたいのでもうひと押ししておくと、2006年に『漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」に描かれた下町描写に関する研究』というガチの論文(@早稲田大学)を発表しているくらい、ディープに好きなのである。それはもう。
この論文についてもう少しお話しすると、1?148巻(当時のすべて)に描かれたすべてのコマを分析し、こち亀に描かれた下町空間の様相・経年変化を追う・・という研究であった。国立国会図書館(NDL)にこもって過去のジャンプに関連した記事を漁り、こち亀に関連するソースをそれはもう・・探しまくり、家では単行本を山と積んで、とにかく引きこもって「こち亀」について調べまくったのである。
さすがに、これをリアルな知人等に話すると絶句される。だいたいの反応は「ドラえもんだけじゃなかったんだ・・」もしくは「そう・・・」といった淡白な反応しかないのだが!
・・・さて、こち亀が好きだ、ということはここまででご理解いただけたと信ずる。決して「40周年だからにわかでファンになった」というわけではないのだ・・・
ダメ押しで書いておくと、過去にこんな記事もこのサイト上で書いているのだ。
・派出所はこれまでに何回壊れたの?リスト
・両津巡査長のアルバイト―1406話316種全リスト(これは物凄く大変だった)
・「こち亀」巻末解説者リスト
・こち亀の変遷を辿る ―コミックス表紙・中表紙完全リスト―
さあ、これでにわかじゃないってこと、・・・・・・信じていただけますか?
さらについでに書いておくと、単行本に唯一未収録の話があって(「帰ってきたあの男の巻」)、それもNDLで調べて、ちゃんと所在を確認して40年間の全話を読了した・・・くらい、そのくらい好きなのだ!
***
さて。
最終回を「ジャンプ42号」と「200巻」それぞれで読んで(最後の4ページの展開が異なる)、私は人知れず涙が出てきたのである。「ああ、もうこれで・・楽しい両さんたちともお別れなのか・・」と。
最終話は、ある意味「こち亀」らしい、なんというか・・とても「馬鹿らしい(←褒め言葉です)」ドタバタで終わった。しみじみとしたラストはいらないよ、と言わんばかりのハチャメチャぶり。そのあとのページの「作者コメント」を見ていたら、「ああ、すべて終わってしまったんだ」という虚無感にとらわれて・・・
こち亀には思い出がいっぱいある。仕事がうまくいかないとき、落ち込んでいるとき、疲れているとき、どれだけ両さんに助けられたか。
エピソードを思い返してみるだけでも、、
「FAXします わたしのすべて」のような超絶ギャグに抱腹絶倒し、
「ゴキブリ大行進!」で身の毛もよだつ思いをし、
「下町交番日記」のような東京が大好きになるエピソードに心が洗われ、、
ああ、書ききれない。
・・・以下、ファンにしかわからないだろうが。。。
両津と部長の東北旅行にしんみり、、
中川の超絶金持ちエピソードにわくわく、、
ゴキブリの「トモダチ」で牛乳を吹き出し、、
土地高騰により交番の場所がなくなって・・・
ボルボが考案した「桃太郎」、、
村上龍も絶賛した「テスタオッサンドナイシテマンネン」、、
「S.ANYO(安世笹子)」、、「S.ONY(進おにいさん)」、、
マーク||(ソーズ)、、
珍名ランキング第1位といってもいい「平平平平(ひらだいらへいべい)」、、、
両津のにせ結婚式・・・
江崎コロ助。。。
どうしても家の見つからない寺井(現・丸井ヤング館)、、
ああ・・どれを思い出しても・・私にとっては最高の読書体験であり、思い出なのであった。
ありがとう、こち亀。
ありがとう、両さん。
ありがとうございます、秋本先生。
こち亀は永久に不滅です。
私たちファンの心になかに、いつまでも。
本当に、ありがとう。
ありがとう、こち亀。
公開:2016年9月17日(「こち亀」最終回が「週刊少年ジャンプ」に掲載された、その日に)
追記:2017年5月10日
追伸;
「こち亀展」を見に行って、そこで展示してあった「こち亀の<本当の>最終話」を読んだ。感動で涙が止まらなかった。ありがとう、こち亀。フォーエバー、こち亀!