ひと昔前の気持ち悪い「絆・節電ブーム」のときに「エアコンをつけない私はエコ」という脳味噌御花畑馬鹿野郎が巷に跋扈したことがあった。その余韻のせいでなぜか「エアコンは消すか28度設定にしなければならない症候群」が日本中のいたるところに発生し、かたや酷暑下の屋内熱中症が流行し、かたやマンションのベランダから侵入するコソ泥が激増する(窓を開けっぱなしにするからである)という、それはそれは社会的不経済が大量に発生したことは記憶に新しい。その余韻は今も続いている。
「室温を28度にしましょう」ならまだ分かるが、「エアコンの設定温度を絶対に28度にしましょう。それ以下にしたら極悪人ですよ」と勘違いしたのはどこのどいつだ。そして、いくら室温が28度だからと言って、湿度が80%あったらどうなのか。これ、普通に熱中症になる温度じゃないのか。
ちなみに以下の表を参照いただくと、28度で湿度が60%の空間にいると、すでに「警戒」の領域に達するのである。「エアコン28度教」の信者は2万回くらい括目されたい。
何度も言う。「設定温度」だけでなく「湿度」も見よ。「温度だけ」にこだわるな。「湿度」も見るのだ。ましてや暑いのにエアコン切って(あるいは冷えもしない設定温度で)汗を流しながら仕事をするなんて、ただのバカである。これで倒れて病院に行ったらそれこそ余計にエネルギーを使うし、何より「医療費」の無駄遣いではないか。
自らの身を切り刻んでまでして、また国家財政を枯渇させてまでして、何がエコだ。エコという名のエゴ、でしかない。何の根拠もなしに「エアコン28度設定」だけを一人歩きさせたのは、誰なのだ。
<無知の善意>ほど害悪なものはない、という好例である。
(出典:厚生労働省のパンフレット「熱中症を防ごう!」)
公開:2016年7月16日(同年7月23日一部表記/表現修正、追記)。