1988年、青函トンネル開業と瀬戸大橋線開業によって、JR7社の路線がすべて1本の鉄路で結ばれた。これを通称して「一本列島」という言葉が流行した。
そんな時代からはや28年。
2016年3月、北海道新幹線開業によってついに、「一日で、一本列島」が実現した。
どういうことか。それは札幌から鹿児島中央まで、すなわち北海道から九州南端の県庁所在地間までが、【1日で】(※)鉄路によって結ばれたということだ。それも、乗換はわずか3回。新幹線は、日本の交通をドラスティックに変化させた。
(※)「24時間以内に到達できる」という意味ではなく、「1泊もすることなく、1日の活動時間のうちに到達できる」という意味。
具体的に見てみよう。
(札幌から鹿児島中央の場合)
06:00 札幌駅発
特急「スーパー北斗」2号(函館行)
09:11 新函館北斗着
09:31 新函館北斗発
北海道・東北新幹線「はやぶさ」16号(東京行)
14:04 東京着
14:13 東京発
東海道新幹線「のぞみ」179号(広島行)
16:46 新大阪着
16:59 新大阪発
山陽・九州新幹線「みずほ」607号(鹿児島中央行)
20:49 鹿児島中央着
日本列島の延々2627キロを、14時間49分で結ぶ。
早朝に札幌を発つと、まだまだゆっくりディナーを楽しめる時間に鹿児島に着くのである。これは革命的なことではないか。
ちなみに運賃はすべて指定席だったとして、およそ5万3000円である(閑散期・通常期・繁忙期を考慮せず概数とした)。
(鹿児島中央から札幌の場合)
06:08 鹿児島中央駅発
九州新幹線「さくら」400号(博多行)
07:44 博多着
07:48 博多発
山陽・東海道新幹線「のぞみ」10号(東京行)
12:53 東京着
13:20 東京発
東北・北海道新幹線「はやぶさ」21号(新函館北斗行)
17:51 新函館北斗着
18:11 新函館北斗発
特急「北斗」19号(札幌行)
21:48 札幌着
こちらは15時間40分。
早朝に鹿児島を発てば、何とか「すすきの」で遊べるだけの時間には札幌に着くのである。余談だが東京で20分以上インターバルがあるので、余裕さえあれば途中下車して、八重洲口のグランルーフを歩いてみたり、丸の内口で記念撮影をしたり・・のどちらかは微妙にできそうな時間でもある(乗り遅れたらすべてがパアになるが・・)。
往路復路いずれも、なんとなくお尻がかなり痛くなりそうだが、一度はやってみたいリッチな新幹線の旅である。技術の進歩にはただただ、脱帽するばかりだ。
ここに至るまでの関係者の叡智がこの「一日で、一本列島」実現には感ぜられる。
将来の北海道新幹線の札幌延伸、そして「リニア中央新幹線」開業で、「1日での可動距離」はますます伸びることになる。
公開:2016年3月26日