どんな社会構造にもしがらみがあって、「あっちを立てれば、こっちが立たず」となるのが世の常。青臭い正義感だけでやっていけないのも事実なら、割り切り過ぎてもやっていけない難しさがある。
そこで「落としどころ」を見つけて「ま、何とかやっていきましょうや」とやるのが政治の役目なのだが、役者は20年変わらずで、ずーっと同じような「喧嘩ごっこ」をしているようだ。大局観が失われている証拠だろう。
***
目下20年来最大の課題である「景気の回復」は、ぶっちゃけた話、「貯蓄税導入」「日銀通貨引き受けによるインフレの意図的な発生と円安政策の断行」「現行支給分の年金減額」の3点セットで必ず達成される(経済学的に明らか)はずなのだが、こんなことを本当に実現しようとしたら、長期安定政権など望むべくもない。だから政治家は誰もやらないし、言わない。
某政党は、役所に出向き、公務員に自分たちの機関紙を買わせ、大きな収入源としている。これを買わせることで、地方議会で変な質問を「ほどほど」に済ませてやっている、というWin-Winの構造ができあがっている。このことは公然の秘密だが、これだって、暴露したところで何かがよくなるものでもないから、誰も何も言わない。あ、そもそも地方議員の質問と答弁って公務員が書・・(以下略
件の領土問題も、長らく「なかったこと」にすることで、お互いがメンツを保ってきたようなものだ。不法占拠をしているA国の件については、A国首領の保身が仇となり、国際的には領土問題と意識されるようになってしまった。「紛争が存在している」ことで立場が悪くなるのはA国。「紛争があるならば、国際司法裁判所で解決しましょう」と主張する日本の立場はきわめて紳士的である。一方、侵略を企図しているB国の件については、日本は「紛争がそもそも存在していない」という立場を取るが、これは、もし「紛争化」すれば、即座に安保案件となりかねないからだ。要するにB国が領有権を主張して進軍すると、理論上は即、安保案件となり、日米間の戦争が起こり得るのである。そうなったらまずいのはB国であり、だからこそB国は実は慎重にことを進めている(A国のように不法占拠はなかなかできないのだ)。A国よりはやっぱりB国のほうがしたたかだが、いずれにしても、あまり「ことを荒げたくない」のは、引け目のあるAB両国なのである。だから日本としては、安保案件になりかねないこのことにはできるだけ触れないことが(当時の政治判断としては)回りまわって得策(だと思ってやってきた)なのだ。もちろん本音は自衛隊でもなんでも出して鎮圧したいのだけれど、それができる国内外の情勢にない(なかった)のは「普通の」大人なら誰でもわかる。だからこそ、誰も何も言わなかったのだ。それを日本国民に「気づかせて」しまったのは偏向教育を続けてきたAB両国であるが・・。
***
怖いのは、こういう「なあなあ」で済まされてきた様々な社会構造の欺瞞を、「裸の王様」よろしく、「王様は裸だ!裸なんだ!」と言う(影響力の強い)人が現れてきた「そのとき」である。
今でいうと、西日本で騒ぎになっている政治会派Cなんて、まさにそんな感じである。既得権益者は、そういうものをもっとも警戒するから、やはりマスコミのバッシングも尋常ではない。
こう書いている私も、Cを手放しで応援するつもりはないけれども、かといって、Cを無条件に批判する輩を見ていると、「ああ、しがらみって大変だなぁ」と同情の念を抱く。
***
何者かが公の場で誰かを批判(あるいは評価)するとき、「この人のしがらみってなんだろう?」と考えながら見ていると、実に楽しい。
公開:2012年10月7日