○ 東京駅の「天地創造」はどこへ・・?
錦糸町―品川を結ぶ長大なトンネル(総武・横須賀地下トンネル)は、国鉄の工事の中でも最高に経費の掛かったものとして有名です。
「鉄道100年」の記念すべき一大事業として、千葉県民の希望を背に、東京地下駅は完成したのです。
それを祝して、東京駅の総武横須賀地下ホームへ降りる階段には、長らく、『天地創造』という題の素晴らしいステンドグラスが飾られ、行く人の目をなごませてきました。「鉄道100年」の誇らしい文字と共に―。
それが、今度の東京駅の復元工事によって消滅しました。かつての「天地創造」の跡地には、巨大な電子広告ディスプレイがお目見えすることになりました。
これにひどくがっかりしたのは、私だけではありますまい。
「鉄道100年」の記念碑を、商業広告の場に変えてしまう感覚は、私にはないものです。
もはやこの社会には、ちょっとした"無駄"さえも許されなず、一寸の余裕も残されていないのだな、となぜかほの悲しくなったのでありました。
○ 『New スーパーマリオブラザーズ2』でコイン100万枚を集めた話
話題の『New スーパーマリオブラザーズ』を発売日にダウンロード購入し、プレイして、クリアをして、コインを100万枚集めて、ようやくオールコンプリートとなりました。充分楽しませていただきました。有料のコース配信も楽しみです。
やっぱりマリオは面白い。相変わらず難易度のバランス感覚も素晴らしいと思います。一般的なゲームの水準から言えば、文句のつけようもなく、100点満点なのです。敢えて書きますと、「マリオはプレイして損はないゲーム」です。今時、定価で購入する価値のあるエンターテイメントって、少ないですよね。
プレイしていて「こんな面白い体験をさせてくれてありがとう」と作り手に毎度毎度感謝したくなるのは、さすが任天堂です。エンターテイメントに掛ける情熱の深さを感じるところです。
でも! どうしても気になるのは、年々、「優等生」になりすぎているところがあるんですよね。「過去作のいいところを集めれば、及第作はできる」というような感じなんです。
はっきり言いましょう。「頭のいい人が作ったマリオ」なんです。特に今作は。言い方を変えると、「マーケティングでできたマリオ」なんですよね。帰納法的に徹底的に「マリオらしさ」が分析されて作られた感じです。だから、「面白い」のは間違いないのですが、一方で、「既視感」も物凄いという・・・これ、過去作からプレイしているオールドユーザーは首肯してくださるものと信じます。
そんなこんなで、マリオシリーズで一番面白いのは、いまでもやっぱり「マリオ3」なんです。ああいう「ワクワク感」というか、「こんなんやってみました感」というのが、近年ではあまりみられないのが、私はとても残念なのです。若干「思い出補正」が掛かっているのもあるのかもしれませんが、やはり、「マリオ3」をプレイするときのワクワク感を超えるゲームには、いまだに出会えていないのが本当のところです。
「マリオ3」なんて、あきれるほどのボリュームのくせに、「セーブ機能がありません。でも、どこかに笛を隠しておきましたからね(テヘペロ)」(要約)って、平気で説明書に書いてしまうくらい、よく考えると「よくGOサインがでたな」というくらいのアバウトさですからね。"いい"加減なところが、本当に面白いのです。
タヌキマリオだから地蔵も出そう、とか、クツにマリオを入れてみよう、とか、カエルスーツで飛び跳ねさせてみようとか、どう考えても「ワルノリ」なんですよ、「マリオ3」というのは。
背景の裏側に回れることも驚きですし、スターマリオはジャンプするとクルクルと回転します。よく考えてみると「ゴールはスロットマシンでどうぞ」なんて、ふざけているとしか言いようがありません(笑)。
だからこそ、ものすごく面白いんです。信じられないくらいにはっちゃけているから。最近は、どうも「きれいにまとまり過ぎている」感がすごいのです。
「旗につかまってゴール」とか、
「しっぽマリオ」とか、
「砦にブイブイ」とか、
「無限1UP」とか、
私はパターンが好きなので、いいんですよ。いいんですが、どうも・・「教科書通りのマリオ」から抜け出ていないんですよね。
私は危惧します。面白いんですよ。今作もすごく面白いんです。でも、このまま過去作のフィーチャーだけでいけば、確実に先細りします。そこを指摘しておきたい。
せっかくのマリオブランドですから、徹底して「新しいこと」「ヘンなこと」にも毎回、毎回挑戦していただきたいのです。私たちがまだ経験したこともないような、本当に新しい(けれど、なつかしい)マリオを。
前作(Newマリオ)の「巨大マリオ」みたいなのは、「ヘンなこと」の1つですよね。ああいうノリです。ここまで書いて思いましたが、今作の「ゴールドブロック」「ゴールドマリオ」「シルバールイージ」なんかは、アホっぽくて好きなノリでした・・。
次回作にも大いに期待します!
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ちなみに、「挑戦を」などと言うと、「いや、コイン集めなんてはじめてのテーマで挑戦的じゃないか」と言われかねないので、補足をしておきます。コイン100万枚を集めるというサブテーマが新しい、というわけでも実はないのです。まあ、「100万枚集めろ」というのはすごく刺激的で斬新すぎるテーマではありますが、マリオシリーズの「ワリオランド」を見れば明らかなように、コインを集めることそのものに主眼がおかれたゲームはすでに存在しています。私は今作を、ワリオシリーズに一部フィーチャーされたマリオ、という感覚で遊んでいたところがあります。
○ 10年一昔 ?10年前にあったもの?
デフレ化してから、経済成長のペースは鈍化。社会も大きく変わっていないようだけれど、10年というのはかなり昔である。10年前の出来事やモノ・コトを、ざっと振り返ってみようと思う。
2002年
できごと
1月-ユーロの流通開始、UFJ銀行誕生
2月-ソルトレークシティオリンピック
3月-いわゆる「ムネオ事件」のスタート
4月-みずほ銀行誕生、本格的なゆとり教育スタート
5月-日本経団連が誕生、日韓共催W杯
6月-日本初の歩き煙草禁止条例(千代田区)
8月-住基ネット開始、丸ビル竣工
9月-小泉首相の北朝鮮電撃訪問、拉致認める
10月-小柴さん、田中さん、ノーベル賞ダブル受賞
11月-アルゼンチンが債務不履行
12月-東北新幹線延伸(八戸まで)、埼京線延伸(大崎まで)
ドラマ
・大河ドラマ「利家とまつ」
・『ごくせん』『相棒』の第1シリーズ
・『北の国から』最終シリーズ
流行
・アザラシの「タマちゃん」
・チワワの「くぅーちゃん」
・『声に出して読みたい日本語』
・・・いやぁ。すでにかなりの昔である。
公開:2012年8月14日