新宿、池袋、東京などは、初見者を戸惑わせるダンジョン駅ですが、意外な駅もトラップとなり得ます。
その代表ともいえる隠れダンジョンが「中野」なのです。
駅の構造自体は非常にシンプルなのですが、この駅からどこかへ向かおうとするとなかなか戸惑うのです。御経験のある方も多いのではないでしょうか。
「中野ダンジョン」に乗り入れている路線の分類は以下の通りです。路線名と列車種別の不整合に着目です。
路線名 | 電車の色 | 列車種別 |
■中央線(快速) | 橙色 黄色(中央・総武車) | ・快速(平日上り/土休日上下とも) ・各駅停車(平日下り) ・各駅停車(早朝・深夜帯) ・通勤快速、中央特快、青梅特快 |
■中央・総武線(各駅停車) | 黄色 橙色(中央線[快速]車) 水色(メトロ車) 橙色(東葉高速鉄道車) | ・各駅停車 ・快速(三鷹まで各駅停車) ・通勤快速(三鷹まで各駅停車) |
■地下鉄東西線 | 水色 橙色(東葉高速鉄道車) | ・各駅停車 ・快速 ・通勤快速 ・東葉快速 |
さらに、発車番線は以下の通りです。普段使っていないと、迷うこと必至ですね。
路線名 | 東行 (東京/西船橋/千葉方) | 西行 (三鷹/国分寺/立川方) |
■中央線(快速) | 2番線[早朝・深夜] 7番線・8番線 | 1番線[早朝・深夜] 6番線 |
■中央・総武線(各駅停車) | (1・)2番線[当駅始発] 5番線[三鷹方面より] | 1番線[新宿方面より] 3番線[東西線より] |
■地下鉄東西線 | 3・4番線[当駅始発] 5番線[三鷹方面より] |
私は趣味柄、かかる実態を把握しているわけですが、地元民以外で上の分類をできる人はそう居ませんでしょう。
カオスの原因は3つです。
(1)列車種別が似ていること
まずもって普通の人は、「■中央線(快速)の快速」「■中央線(快速)の各駅停車」「■中央・総武線各駅停車」の見分けはつかないわけです。
さらに「■地下鉄東西線」の電車には<各駅停車><快速>があり、さらにややこしいことに「■地下鉄東西線」の<快速>は「■中央・総武線各駅停車」の線路を走るのです・・・。
(2)行き先が非常に似ていること
「■中央・総武線(各駅停車)」にも「■地下鉄東西線」にも<西船橋行き><津田沼行き>があり、深夜は「■中央線(快速)」にも「■中央・総武線各駅停車(各駅停車)」にも<東京行き>があるのがややこしさに拍車をかけています。
さらに追い打ちをかけるように、「■中央・総武線各駅停車(各駅停車)」の千葉方面からの電車には、平日深夜帯に<武蔵小金井行き><立川行き>と走らせる運用があり、この電車は三鷹から「■中央線(快速)」直通の各駅停車となるのです。初見者は意味が分からないでしょう・・。
(3)列車の色が似ていること
ラインカラーをおさらいすると、「■中央線(快速)」は橙色、「■中央・総武線(各駅停車)」は黄色、「■地下鉄東西線」は水色が基本色なわけですが、 「■中央・総武線(各駅停車)」には橙色が2パターンのほか、さらに水色の電車も走ります。「■地下鉄東西線」にも、橙色の電車が走るのです。
そこへきて混乱を拡大させているのが、「■地下鉄東西線」と直通運転をしている「■東葉高速鉄道」のラインカラーです。昔は、「■東葉高速鉄道」の車両は銀色に橙色の帯、「■中央線(快速)」の車両(201系)は全車体橙色の塗装だったので、まだ見分けがついたのです。が、今や、「■中央線(快速)」の車両(E233系)は銀色に橙色の帯ですから、一般の人が初見で、「■東葉高速鉄道」の車両と「■中央線(快速)」の車両とを見分けるのはなかなか至難の業と思われます。
そこで私なりに考えている解決策は・・・
(1)路線名を統一させる
JR常磐線は、長らく「■常磐線普通列車(快速線経由取手以遠直通)」「■常磐線快速電車(快速線経由上野―取手間運転)」と「■常磐線各駅停車」の2路線/3種別が混在し、余所者を混乱させてきました。思い切って「■常磐線普通列車」を、上野―取手間で「■■常磐線快速」の名称に統合したのは、JRの英断だと私は評価しています。
利用者視点から言えば、「■中央線(快速)」は「■中央線」でいいのではないかと思っています。そもそも快速運転をするのは、平日が中野―御茶ノ水間、土休日が吉祥寺―御茶ノ水間でしかないのですから、路線名を「中央線(快速)」とするのは混乱の元です。これを単に「■中央線」とするだけで、例えば中野以遠の「■中央線(快速)の<各駅停車>」という意味不明な種別はなくなりますから、ユーザフレンドリー性が高まるように思います。
また「■中央・総武線各駅停車」は「■総武線」でいいでしょう。「房総と武蔵を結ぶ路線」なのですから、「総武線」という表現にはいささかも矛盾が含まれていません。「三鷹から千葉までぜんぶの駅に必ず止まる電車」という意味合いで、「■総武線」を固定した名称にしてしまえばよいのです。こうすることで、「■中央・総武線各駅停車の<通勤快速>」などというこれまたわけのわからない種別が存在しなくなり、初見者への親切性が高まるように思えるのです。
もっとも、「■中央・総武線各駅停車」と呼んでいる人はついぞ見たことがありません。人口に膾炙しているのは、そもそもが「■中央線」「■総武線」なのですから。
(2)1つの覚えかた・・・オレンジラインを例に
「■中央線(快速)」と、「■東葉高速鉄道」のラインカラーは酷似しているので相当ややこしいですが、今更色を変えられないでしょうから、自衛策としては「■中央線(快速)」は1・2・6・7・8番線から、「■地下鉄東西線」は3・4・5番線から発車する―つまり、両者(オレンジ同士)が同じ線路を走ることはない―ということを、しっかり覚えておくことです。これだけで、かなりラクになるはず、です。
公開:2012年7月1日