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仕事環境の断捨離


業務効率化は、まず仕事環境の断捨離から。


■はじめに

業務効率化、生産性の向上-といいながら、いまだに判子やFAXで書類をやり取りしていたり、「いつも決まった自分の机」で仕事をしたりしているようでは効率化の効果は知れています。「モノ」はおかれているだけではカネになりませんから、できるだけストックは減らし、執務スペースをミニマムにする(単位面積当たりの売上を上げる)ことが、昔のように売上が望めない時代に「利益を高める」ためには不可欠なのです。

フリーアドレスにすることで、「個人持ち」の書類や文房具などを大幅に減らすことができます。整理整頓の習慣がつくので、「書類が雪崩を起こす」ということもなくなりますし、そもそも「なんでも紙で印刷する」という文化がなくなるので、印刷費も大幅に浮くことになります。

さらにリモートワークにすることで、「全員が出社」する必要がなくなるため、オフィスを減床することが可能になります。オフィスにかかるランニングコスト、什器類のコストも大幅に押さえることができるようになります。

フリーアドレスとリモートワークは、利益創出のための要になるといえるでしょう。これはいうなれば、オフィスそのものの断捨離であって、旧来のオフィス観の断捨離でもあります。


■異動の度に減る段ボール

初めて部署異動をするときは、段ボール7箱分の書類を新部署に送りました。「おいおい、どんな奴が来るんだ?」と話題になったとあとで聞きました。次の部署に移動するときはそれが「3箱」になったのですからだいぶ成長したものです。

時は流れ、当時の職場がフリーアドレス化することになりました。「自分の机」がなくなることにとまどいもありましたが、よく考えると仕事でいつも手元においておかなければならないものはほとんどないことに気づいたのです。ここから、仕事環境の断捨離が本格的にスタートします。

結局、「取り掛かっている仕事の書類ストック」「個人持ちしておきたい、業務のマニュアル類」でストックボックス3箱に収まるくらいしかモノが必要でないことに気づき、唖然としました。「こち亀」で、思い出のビデオテープをHDDにまとめたらものすごく小さな代物になってしまって唖然とする人の話がありましたが、ああいう虚脱感すら感じるほどでした。「自分の仕事って、こんなに小さかったのか・・・」と。しかしなぜ、今まであれほどまでに引き出しにモノを入れていたのか?答えは、「引き出しがそこにあるから」としか言いようがありません。入れ物の数だけ、モノは増殖してくる運命にあるようなのです。

その後、コロナ禍に突入します。出社もしなくなります。在宅ワークでは、「業務用ノートパソコン」「業務用携帯電話」「マイク付きイヤホン」「ワイヤレスマウス」「手帳」だけあれば十分に仕事ができることに気づかされました。あれほど必要だと思っていた書類も、マニュアル類も、すべて画面で参照できることに気づいてしまったのです。

どうしても印刷が必要なものはコンビニで印刷、郵送物も経費で送ればよし、「出社しなければならないこと」など、微塵もなかったのです。

やがて異動となりますが、もはや送るモノは段ボール1箱のみ。さすがに周囲からも「え、それだけなんですか?」と驚かれたものですが、本当に送るものがなかったのです。

異動後、私の断捨離は加速します。マニュアル類も自分の書き込みがある大事なものを除いてすべて捨て、業務の進行書類も「個人持ち」を完全にやめて、共用のクラウド保存もしくはラテラル保存をすることを徹底しました。すると用意された個人ロッカーもスッカスカで、ほとんど使わなくなっていきます。

次の異動では、ついに送るものが「防災用ヘルメット」(個人用)だけになってしまい、段ボールがベッコベコになるので仕方なくファイルボックスのようなものを入れて一緒に送ったような記憶があります。約20年で「段ボール箱7箱」から「1箱未満」へ。技術の進歩というのももちろんあるのでしょうが、それ以上に「モノ」との自分自身の接し方が変わってきたことを実感します。

■シンプルに

現在、出社の頻度は月に1回程度。必要に迫られてというより、「さすがに顔を出しておかないとまずいだろう」というくらいの動機で出社しています。会社のロッカーには例のヘルメットとカラのファイルボックス、名刺のストックくらいしか入っていないので、本当に何もありません。

出社用のカバンに入っているのは、PC保護ケース、名刺入れ、ペンケース、水筒くらい。「オフィスでないとできない仕事」というのが本当にないので、自宅でも喫茶店でもオフィスでも、「業務用ノートパソコン」「業務用携帯電話」「マイク付きイヤホン」「ワイヤレスマウス」「手帳」で仕事をしています。どこでも業務スタイルが変わらない、というのはそれだけその業務スタイルがシンプルだということですね。

どこでも業務スタイルが変わらないということは、どこで仕事をしてもよい、ということになります。電波さえ届けば、沖縄でやろうが軽井沢でやろうが、ハワイでやろうが自由ということですね。これが「シンプル」の魅力です。

■思い込みから脱却する

いまだに「自分の机がないと仕事をした気がしない」「出社しないと仕事をしたことにならない」という人は多いと思います。しかし、それはデスクワークに限り、多分に壮大な思い込みです。自分の机がなくても仕事はできますし、出社などは「仕事をしたつもりにさせる」幻想の装置に過ぎません。

意識して、計画して、行動に移していると、いつまでも断捨離はできません。よく言われることですが、まず行動して、それから計画を考えて、意識に替えていくというアプローチを取ってみましょう。すなわち、「フリーアドレス」ということを決めて、そこから必要な計画を立て、意識に入れていくのです。そうすると必ず断捨離が進み、「何でこんなモノの中で仕事をしていたんだろう・・・」と気づくことができるようになります。


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