熱中症は、炎天下などや高温の室内で体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れた結果、人体に備わっている体温調節機能がはたらかなくなって、体温の過度な上昇によるめまい・けいれん・頭痛など様々な症状が引き起こされる病気です。
重症度によって、大きく3つの段階に分けられています。おおまかな目安を示します。
熱中症が疑われる場合は、まず応急処置です。応急処置で症状が改善されなければ、ためらわずに救急車を呼びましょう。
熱中症は、炎天下での活動や、真夏の運動で起こるだけではありません。突然気温が上がったときや、エアコンのない室内で過ごしているだけでもかかってしまうことがあります。具体的には、以下のような環境が危険因子です。
熱中症は誰でも発生し得る病気ですが、年齢や、特に温度変化に弱いといった体質、体調が悪いといったからだの状態によってよりかかりやすくなります。
特に以下のような活動は、熱中症を引き起こしやすいとされます。環境や体調を鑑みて、これらの活動が今ふさわしいかを考えるようにしましょう。
今の夏は、一昔の夏とは違って「酷暑」です。「熱中症警戒アラート」が発令されたら、自然災害の「警報」と心得て、熱中症にかからないよう、次の行動を積極的に起こしましょう。
環境省熱中症予防情報サイト (env.go.jp)を確認し、自身の行動の目安にします。個人差を考えると、実際のアラートよりも少し強めに 活動を制限するのがよいでしょう(ヒートアイランド現象のみならず、アスファルトやコンクリートの照り返しで、気温以上に運動空間は暑くなっていることが普通だからです)。
「危険」は運動を絶対中止し涼しい場所へ避難、「厳重警戒」は激しい運動(持久走など)は絶対中止し、やむを得ず運動する場合は長くても10分おきを目安に涼しい場所で休憩して水分・塩分を補給のうえ、長時間の運動は避けて可能な限り涼しい場所へ避難、「警戒」は積極的に涼しい場所で休憩して(長くても15分おき目安)水分・塩分を補給、「注意」は積極的に(長くても20分おき目安)水分・塩分を補給です。「ほぼ安全」でも、水分・塩分補給はこまめに行いましょう。
子どもや高齢者、持病のある人、肥満など、熱中症のリスクが高い人には、「夜間でもエアコンを使う」「こまめな水分補給をする」ことを声掛けします。「クーラーが身体に悪い」のは昔の話。もはや毎日が熱帯夜なのですから、「クーラーをつけないと命の危険がある」くらいの意識が必要です(夜が涼しく感じられても、蓄熱で部屋の壁や天井などが熱を帯びていることがあります。そこからの輻射熱に加え、水分補給が少ないと「寝ている間に脱水症状を引き起こして命を落とす」といったことにもなりかねません)。
上記の「熱中症の予防」を積極的に行いましょう。屋内では昼夜を問わずエアコンを使用し、部屋を涼しく保つようにします。またのどが渇く前にこまめに水分補給をする、できるだけ涼しい服装で過ごす、などすぐに実践できる、身を護る行動を取るようにします。
不要不急の外出は控え、暑さを避けましょう。
屋外はもとより、エアコンのない屋内での運動も中止します。
いくら「水分が必要」だからといって、適切な水分補給を行わなければ(一度に大量の水分を摂りすぎることで)恐ろしい「水中毒」になる危険性があります。
1日に10Lといった単位で大量の水を飲むことを「多飲症」と言います。水中毒は、多飲症の結果、血中のナトリウム濃度が極端に薄まったことによって引き起こされる、「低ナトリウム血症」による発作のことで、めまい・頭痛、多尿・頻尿、下痢、吐き気・嘔吐、意識の混濁や錯乱、また呼吸困難などの危険な症状があらわれ、命にかかわることもあります。
人間は、安静にしている状態でも2.5Lの水分が失われます(排尿・排便のほか、発汗、呼気、不感蒸泄を含む)。食事中の水分や内分泌で得られる水の量は1.3Lとされるため、あと1.2Lは「水分」として摂取することが必要です。もちろん、運動などで発汗する場合はそれ以上の水が必要となりますが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。
水を「必要以上に」「一度に」「大量に」飲み続けることは避け、「適量を」「少しずつ」「こまめに」補給することが大切です。また、暑い日や運動をするときに多めの水分を取るときは、「味噌汁」「梅干し」「塩飴」などを適宜活用し、「塩分」を併せて摂取するようにしましょう。単に「水」を摂取するだけでなく、麦茶や経口補水液などで、ミネラルや適量の糖分を補給することも望ましいでしょう。