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五変化! 明治から残るある建物の物語。


千葉市は、1921年(大正10年)1月に市制施行してから、2021年(令和3年)でちょうど100年を迎えました。

今回は「千葉市100年」を記念して、ある建物をご紹介します。

 国道沿いのトヨタの看板が目印です。

 

 とても風格のある純和風の建築物。

これ、現在は「千葉トヨペット本社」として使われている建物です。この建物にはこんなすごい歴史があります。

1.明治32年(1899年)に明治建築界の巨匠、妻木頼黄(つまきよりなか)と武田五一(たけだごいち)によって「日本勧業銀行(現・みずほ銀行の母体の1つ)本店」として東京・麹町区、現在の内幸町に建築されます。

2.明治43年(1910年)には、上野で開催された博覧会の本館、迎賓館として使用されたといいます。

3.大正15年(1926年)に京成電気軌道(現・京成電鉄)に売却され、千葉県に移築され、習志野の旧・谷津遊園で「楽天府」として坂東妻三郎の撮影場に使用されます。

4.そして戦時中の昭和15年(1940年)、当時の千葉県庁の向かい側に移築され、「千葉市役所」としての営業を開始します。

5.高度成長期の昭和38年(1963年)には、千葉市の新市庁舎の落成でいったん姿を消しますが、復元・保存の機運が高まり、(千葉市内での再建を条件に)千葉トヨペットが無償譲渡を受け、昭和40年(1965年)に現在地にて再建されます。再建にあたっては、躯体こそ鉄筋コンクリート造ですが、屋根は建築当時の木造銅葺、正面玄関の車寄せや外観などは当時の姿を模すなどの復元も併せて行われています。屋根が銅葺であることは、屋根が緑青になっていることからもわかりますね。

このように、何度も移築を繰り返しながら、「銀行」→「博覧会の迎賓館」→「遊園地の施設」→「市役所」→「自動車販売会社」と5回もその中身を変えて、なんと120年以上も現役で使われているのです!

平成9年(1997年)、国登録有形文化財(建物)に指定されています。建物の説明は、「唐破風をもつ中央の玄関から左右対称に展開し、全体の意匠は和風を基調としている。(中略)国道に面して建つ特異な外観をもつ大規模な建築である。」とあります。この端的な説明の通り、とにかく「大きい」。これが特徴です。

旧海岸線の埋立地を貫く巨大な国道16号沿いに、これだけの巨大和風建築。これはなかなか圧巻です。

 

みなさんも、ぜひ。

○アクセス方法

【位置】
・国道14号「稲毛浅間神社前」交差点から東京方向左手 稲岸公園超えてすぐ

【公共交通機関利用】
・JR総武線稲毛駅ペリエ改札からペリエ抜けて左手せんげん通り方向へ徒歩17分。
・京成稲毛駅から改札左手方向へせんげん通り直進、徒歩10分。
・JR京葉線稲毛海岸駅から稲岸公園方向へ徒歩15分。

【特記事項】
・至近に「稲毛浅間神社」があります。こちらは大同8年(808年)、富士山本宮浅間大社から勧請したのに始まる古社です。文治3年(1187年)の社殿再建の際、社殿が東京湾を隔てて富士山と向かい合って建立されました。敷地は富士山の形に土盛りされ、参道も富士登山道にならって三方に設けられています。また、かつては海上に一の鳥居がありました。

〇参考文献
・いき出版『写真が語る 千葉市の100年』 2021年
・千葉トヨペット本社 「本社屋のご紹介」 
 https://www.chibatoyopet.co.jp/about/headoffice/
・千葉市「千葉市内の国登録文化財 千葉トヨペット本社」
 https://www.city.chiba.jp/kyoiku/shogaigakushu/bunkazai/chibatoyopet.html
・千葉県「千葉市の国・県および国登録文化財 千葉トヨペット本社(旧勧業銀行本店)」
 https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/bunkazai/bunkazai/q111-002.html
・文化財オンライン「千葉トヨペット本社(旧勧業銀行本店)」
 https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/146845
・千葉市「駅から文化財マップ」 JR稲毛駅から京成稲毛駅
 https://www.city.chiba.jp/kyoiku/shogaigakushu/bunkazai/documents/bunkazaimap-inage.pdf


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