桃太郎


昔、昔、あるところに、

おじいさん(ボブ)と、おばあさん(ジェーン)が住んでいました。

 

おじいさんとおばあさんは、「桃太郎電鉄」のファンでした。

 

今宵も、ボブとジェーンは桃太郎電鉄DX(デラックス)をプレイしていました。

 

***

 

翌朝。

桃屋の「ごはんですよ」で朝食を済ませた二人。

おじいさんは、米国製の音の大きい芝刈り機を背負って山へ芝刈りに。

おばあさんは、日本製の二層式の古いタイプの洗濯機を背負って川へ洗濯に行きました。

 

おばあさんが川で洗濯をしていると、

川上から、大きな大きな桃が、

 

どんぶらこ どんぶらこ

 

と流れてきました。

 

おばあさんは多少たまげましたが、

 

「食べ出があるわ」

といって、気にもせず、その桃を拾い上げました。

 

おばあさんは、二層式洗濯機を背負い、大きな桃を抱えて家に帰りました。

 

***

 

おじいさんが帰ってくると、おじいさんとおばあさんは、早速、桃太郎電鉄をプレイしました。

「99年モード」でプレイし、おばあさんが勝利すると、夕食です。

 

 

おじいさんは、言いました。

「デザートないかねぇ、ばあさんや」

 

おばあさんは、言いました。

「あれですよ、おじいさん。」

 

おばあさんが指で 指し示した先には 大きな、大きな桃があるではありませんか。

おじいさんは、たまげました。

 

「早速食べませう」

 

包丁でスパっと切ると・・・

 

中には赤子がいます。

 

二人は、たまげました。

 

おじいさんは、言いました。

「桃から生まれたようだ」

 

おばあさんも、言いました。

「桃から生まれたようですね」

 

赤子は、言いました。

「ももたろう」

 

この赤子は、「桃太郎」と名付けられ、大切に育てられました。

 

***

 

しばらく月日がたって・・・

 

***

 

大きくなった桃太郎は、唐突に衝撃的な台詞を言いました。

 

「ボクは鬼退治に行きます」

 

おじいさんとおばあさんは思いました。

「この子、頭がアレになっちゃったのかしら」

 

しかし、桃太郎は言い続けます。

「ボクは鬼退治に行きます」

 

毎日、毎日同じことを聞かされたおじいさんとおばあさんは、いよいよ本気になりました。

「その、鬼ってのはどこにいるんだい?」

 

桃太郎は言いました。

「よかった。このまま質問をしてくださらなかったら、話が進まないところでしたよ。

都で大昔、鬼が暴れたんです。奴らは、金銀財宝を奪いつくしました。都は滅茶苦茶。そういう悪い奴を、ボクは許せないんです。だから鬼が島に行って、鬼を倒すんです。

おじいさん、ノボリをつくってください。おばあさん、美味しい黍団子をつくってください。今すぐ、行きます。」

 

おじいさんとおばあさんは、桃太郎の言うことを聞くことにしました。止めても無駄だと思ったからです。

 

おじいさんは、桃の絵と、「日本一」とかいたノボリをこしらえました。我ながら、自慢のできる旗でした。

おばあさんは、日本一の黍団子をつくりました。これは、美味しそうです。

 

***

 

桃太郎は、勇んで出かけていきました。

 

途中で、犬が近寄ってきました。日本一の黍団子の匂いにつられてやってきたのです。

 

桃太郎は、動物の言葉が分かります。

「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰につけた黍団子、一つ私にくださいな」

 

桃太郎は、日本一の黍団子をタダであげるのは惜しいと、条件を提示しました。

「やりましょう。やりましょう。これから鬼の征伐に、ついてくるならあげましょう」

 

犬は、言いました。

「行きましょう、行きましょう。あなたについて、どこまでも。家来になって、行きましょう。」

 

桃太郎は、犬を家来にしました。

 

当時は、御恩と奉公で主従関係が結ばれる封建制度の時代。

黍団子を仲立ちとして、桃太郎と家来との間に牽牛な関係がどうやら築かれたようです。

 

しばらくたって、今度は猿が日本一の黍団子の匂いにつられてやってきました。

「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰につけた黍団子、一つ私にくださいな」

 

桃太郎は犬と同様の条件を提示します。

「やりましょう。やりましょう。これから鬼の征伐に、ついてくるならあげましょう」

 

猿は返事をします。

「行きましょう、行きましょう。あなたについて、どこまでも。家来になって、行きましょう。」

桃太郎は、猿も家来にしました。

 

しばらくたって、今度はキジが日本一の黍団子の匂いにつられてやってきました。

「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰につけた黍団子、一つ私にくださいな」

「やりましょう。やりましょう。これから鬼の征伐に、ついてくるならあげましょう」

キジは言いました。

「行きましょう、行きましょう。あなたについて、どこまでも。家来になって、行きましょう。」

桃太郎は、キジも家来にしました。

 

桃太郎と、犬、猿、キジの1人と3匹は、鬼が島を目指し進みました。

 

意気高揚に、こんな歌まで飛び出します。

 

「そりゃ進め そりゃ進め 一度に攻めて攻めやぶり つぶしてしまえ 鬼が島」

 

***

 

桃太郎は、鬼が島で鬼たちと戦います。

 

こんな歌まで飛び出します。

 

おもしろい、おもしろい。のこらず鬼を、攻めふせて 分捕物を、えんやらや」

 

この

桃太郎と

犬と

猿と

キジで、

 

鬼たちを残らず退治してしまいました。

 

そこには・・鬼たちが溜め込んだ金銀財宝がザックザク。

 

「万々歳、万々歳。お伴の犬や猿雉子は、勇んで車をえんやらや」

 

どんな財宝があったかというと、

「金銀さんごあやにしき」

だそうな。

 

***

 

そこには、

都からさらわれたままだった良家の娘さんもおったそうな。

 

彼女の名前は、ピーチ姫といったそうな。

でもここは日本だから、「桃姫」である。

 

猿は突然理性のタガが外れてこの魅力的な桃姫に飛びついたそうな。

「あーれー」と悲鳴を上げる桃姫。

 

桃太郎は、すこぶる怒ったそうな。猿のお尻を強く叩いたものだから、そこが真っ赤になったそうな。

猿は、お得意の「反省」ポーズをしてみせたそうな。舌を出しながら。

 

桃太郎と桃姫は一目ぼれしあってすでにラブラブ・ランデブーだったそうな。

「どちらも異性に飢えていたんじゃないの?」「心理学で言うつり橋効果じゃないの?」とか陰口を叩く人はいなかった。

それはもう、お似合いのカップルだったそうな。

 

犬、猿、キジは、それぞれ武勇伝を残して仲間内で称えられたそうな。

 

因みに

金銀財宝を持ち帰った桃太郎と、桃姫と、おじいさんとおばあさんは、いつまでも幸せに暮らしましたとさ、めでたし、めでたし。


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