『ドラえもん』には様々な「未来のクスリ」が登場します。
未来なだけに効果も抜群のようですが、
中には爆発したり、依存症になったり、突然凍りついたり・・・と、
過剰で危険な副作用が出てしまうこともあるようです。
調べてみると、これまでに発生した副作用は、
25話・27薬品・35シーンにも及びます。
そこで今回は、ドラえもんに登場する危険なクスリに着目し、
その副作用をまとめてみました。
■ドラえもんの道具が原因で発生した「副作用」の例■ 風呂の中で凍る、溺れる、幼稚園の先生につまみ出される、大渦巻きに巻き込まれる、人食いザメにアクアラングを食いちぎられる、髪が伸びすぎる、色白になる、ガス爆発を起こす、東京―青森間を走って往復する、かたつむりと競争して負ける、体が止まらなくなる、自宅の風呂で遭難する、オカマになる、家を追い出される、手で火を起こす、真夜中に近所迷惑な歌が流れる、スカンクの毒にやられて自滅、空へ急上昇、ママを三千キロ探しまわる、ジャイアンの歌中毒になる、ガス依存症になる、見せ物になる、気前が良くなる、乱暴になる、死にかける、変身癖がつく、大冒険をする、放屁で空を飛ぶ、飲まず食わずの目に遭う・・・など。 |
ちなみに、副作用に遭った回数をキャラクタ別にまとめてみますと・・・
のび太がダントツで4割を超えます。「浅はかな順」に被害が出ているようです。
では早速、リストを見てみましょう。
巻・話 |
薬物名 |
主な副作用 | 使用状況 |
1巻「アベコベクリーム」 | アベコベクリーム | 風呂の中で凍る |
体感温度が逆転する「アベコベクリーム」を塗ったのび太とドラえもん。 沸かし過ぎの風呂に入って、凍りつく。これが副作用の第1号である。 |
3巻「ソウナルじょう」 | ソーナル | 幼稚園の先生につまみ出される | 思ったとおりに何でもそうなる「ソーナル」。 のび太のマイナス思考が強すぎて、家の中で溺れたり、空き地で渦巻きに巻き込まれたり、人食いザメにアクアラングを食いちぎられたりして何度も命の危険にさらされる。 |
溺れる | |||
顔にタコスミが掛かる | |||
大渦巻きに巻き込まれる | |||
人食いザメにアクアラングを食いちぎられる | |||
3巻「白ゆりのような女の子」 | 30分できく毛はえぐすり | 髪が伸びすぎる |
戦前に来たのび太。丸刈りにした頭を元に戻そうとドラえもんが「30分できく毛はえぐすり」を振りかける。 するとしばらくして、「ニュ ニュニュニュ バサ」・・・と大量に髪が生えてきてしまい、まるで女性のようになってしまうのび太であった。 |
だっしゅうざい | 色白になる |
肥え溜めに落ちたのび太。 あまりの臭さにドラえもんが振りかけた脱臭剤。 振りかけすぎて、皮膚が白ゆりのように白くなってしまった。体に悪そうである。 |
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4巻「メロディーガス」 | 音楽イモ | ガス爆発を起こす |
「食べるとお尻からメロディーガス(音楽つきおなら)が出る」という未来のジョーク薬品「音楽イモ」。 かくし芸で披露しようと、1袋全部食べてしまったのび太。 芸を披露している途中、「バボン」と突然の大爆発を起こし、おならで空を飛ぶ羽目に。 |
5巻「のろのろ、じたばた」 | クイック | 東京―青森間を走って往復する |
せっかちになる薬「クイック」の効き目を止めようと、「スロー」を 飲もうとしたドラえもん。 間違えて「クイック」をさらに3錠飲んでしまい、体が止まらなくなる。 結局、東京←→青森をダッシュで往復する羽目になった。 |
スロー | かたつむりと競争して負ける |
「クイック」を飲もうとしたのび太、間違えて「スロー」を4錠飲んでしまい、体がスーパースローになってしまう。 かたつむりにまで追い抜かれるという大失態を演じる。 |
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クイック | 体が止まらなくなる |
ドロップと勘違いして「クイック」を2錠ずつ食べた玉子とのび助。 体が止まらなくなり、家じゅうをかけずり回る。 |
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5巻「うちのプールは太平洋」 | シネラマン | 自宅の風呂で遭難する | 空間を広く感じる薬「シネラマン」を風呂の中で6錠、追加摂取したのび太。 風呂が海のように広くなり、風呂から出られなくなって遭難するのび太。 |
6巻「ジキルハイド」 | ジキルハイド | オカマになる |
性格が反転する薬「ジキルハイド」をひとびん全部飲んだジャイアン。 「あの・・・・・・、のび太さんいらっしゃるかしら。」 「望遠鏡やなんか、いままでお借りしたものです。」 「あたしって、いけない子だったわ。ゆるしてちょうだいね。」 サメザメと、女々しく泣いてのび太に詫びるジャイアンであった。 |
8巻「ニクメナイン」 | ムシスカン | 家を追い出される |
誰からも好かれる薬「ニクメナイン」を飲もうとして、間違えて誰からも嫌われる薬「ムシスカン」を7錠も大量摂取したのび太。 楽しそうに「いっぺんにうんとのんじゃえ。」と薬を飲むのび太のセリフが泣かせる。 その後、いきなり玉子につねられ、平手打ちされ、「そばにいるだけでしゃくにさわるわ!」と家を追い出されるのび太であった。 |
8巻「くろうみそ」 | くろうみそ | 手で火を起こす |
のび太にしめしをつけようと、「くろうみそ」を大量摂取するのび助。 ライターの火がなくなり、タバコを吸うために手で火を起こす羽目に。 |
10巻「おそだアメ」 | おそだアメ | 真夜中に近所迷惑な歌が流れる |
音の伝わり方を遅くする「おそだアメ」。 ジャイアンのリサイタル当日、ジャイアンに「声のよくなるあめ」とうそをついてこのアメを紹介するのび太、「20つぶほどのむといいよ。」 喜んだジャイアン、「20つぶなんていわないで、全部いただきましょう。」と、一缶全部の大量摂取。 午前2時頃、ジャイアンの歌が近所中に響き渡ることに・・・ |
10巻「動物がたにげだしじょう」 | 動物がたにげだしじょう | スカンク毒にやられて自滅 |
ピンチから逃げ出すときに、カメレオンなどの動物の効果があらわれる錠剤が「動物がたにげだしじょう」。 スカンクの効果が表れたスネ夫。土管の中で放屁し、自分の臭いにやられる。 |
11巻「雲の中の散歩」 | ふわふわぐすり | 空へ急上昇する |
かむと体の中にガスができて、空気より軽くなる「ふわふわぐすり」。 一度に14粒と大量に摂取したジャイアン。空中へ勢いよくダイブ。 |
16巻「お金なんか大きらい!」 | きまえのよくなるくすり | むやみやたらと人にお金をあげたくなる |
「きまえのよくなるくすり」をのび太に飲まされたのび助。あやうく一文無しになるところであった。
のび助「みやみにへんなくすりを、のませるな。」 反省の弁を述べるが、このリストを見る限り・・・どこがだ、と言いたくなる。 後で町中の子どもがこれを飲んでしまい大騒動に。 |
お金がきらいになるくすり | お金を見るとジンマシンがでる |
「お金がきらいになるくすり」をのび助に飲まされたのび太。お金を過剰に怖がるようになる。 後で町中の子どもがこれを飲んでしまい大騒動に。 |
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20巻「ぼくをタスケロン」 | タスケロン | 困っている人のところへ自動的に足が向くようになる |
困っている人を助けずにはいられなくなる薬品「タスケロン」。 ジャイアンとスネ夫に飲ませようとしたのび太、逆にひとびん全部飲まされて・・・ |
21巻「ママをたずねて三千キロじょう」 | ママをたずねて三千キロじょう | ママを三千キロ探しまわることに |
「ひとつぶ飲むと三百メートル ママを探しまわらないと会えない」という薬品。 玉子に怒られたのび太、勢いで一びん(一万粒)を一気に飲む。 三千キロ探しまわらないとママに会えないことになり、泣きじゃくるのび太。 |
24巻「ジャイアンリサイタルを楽しむ方法」 | ヤメラレン | ジャイアンの歌が聞きたくて、頭がボーっとしてイライラする |
ジャイアンのリサイタルを乗り切るため、わざわざ依存症になる薬「ヤメラレン」を使って、「ジャイアンの歌中毒」になったドラえもんとのび太。 ジャイアンの歌に熱狂し、歌えなくなったジャイアンを追いまわしてまで歌をせがむ。逃げるジャイアン。 |
25巻「へそリンガスでしあわせに」 | ヘソリンガス | ヘソリン依存症になる |
痛みを感じなくなる薬「ヘソリン」。
ヘソリンを吸ったのび太のセリフを見てみると・・・ (1)「なんだか・・・・・・・・・、目の前が明るくなって・・・・・・、バラ色にみえてきた。しあわせな気持ち!!」 (2)「ヘソリンをすえば、この世は天国。」 (3)ガスの効き目がきれると慌ててガスを吸うために家に戻り、吸ってから一言「しあわせ・・・」 危険すぎる。完全にヘソリン中毒である。 やがて町中の子どもたちがそのとりこになってしまう。薬物の恐怖をコミカルに描いた教訓話。 |
27巻「のび太は世界にただ一匹」 | 国際保護動物ガス | 大衆の見せ物になる |
「国際保護動物ガスに含まれる国際保護どうぶつにおいの効果で国際保護される」という効果のある「国際保護動物スプレー」を使って動物保護をしようと頑張るのび太だったが、バカなことに気づいてしまう・・・ のび太「世界中にトキは五羽。野比のび太はぼく一人。もしぼくがいなくなったら・・・。ぼくは絶滅するんだ!!保護しなくちゃ。」と、自分自身にスプレーを掛ける・・・。 過剰に保護され、大衆の見せ者になる羽目に。風刺である。 |
30巻「ホンワカキャップ」 | ホンワカ放射能 | 気前が良くなる |
ジュースをお酒のように「ホンワカできる液体」に変える「ホンワカ放射能」を帯びた「ホンワカキャップ」。 これで各人の酒癖が分かる。 ○ドラえもんは気前がよくなり、ジャイアンに道具をあげてしまう。 ○スネ夫は乱暴になる。ジャイアンに向けて、 「ほれ!・・・つげよ。」 「るせえ!!もっとつげ!!」 ○ジャイアンはオカマになる。スネ夫の暴言に対して、 |
乱暴になる | |||
オカマになる | |||
32巻「しずちゃんさようなら」 | 虫スカン | 死にかける |
人生に絶望したのび太が静香と別れるために9錠以上の「虫スカン」を飲んだ。 強烈な不愉快放射能が周囲にまき散らされる中、「の、飲みすぎて、気分が悪い・・・。助けて!! もうだめ・・・、死にそ・・・・・・・・・。」とのたうちまわる。 これは他の話とは肌色が違い、薬物そのものの危険性がストレートにあらわされた話。 のび太を介抱する静香の献身的な姿に未来の妻の姿が浮かび感動的だが、あまりに重いシーンである。 |
34巻「エスキモー・エキス」 | エスキモー・エキス | 真夏に凍りつく |
「あつい」と一言言うごとに体感温度が3度下がる薬「エスキモー・エキス」。 ジャイアンとスネ夫が使っていたところ、外から帰ってきたジャイアンの母ちゃんが「あついあつい・・・・」と連呼。その途端、白目になって凍りつく二人。 大丈夫か。 |
36巻「変身・変身・また変身」 | 変身ドリンク | 変身しやすくなりすぎる |
イメージしただけで変身ができる「変身ドリンク」を4瓶も飲んだのび太。 「のみすぎると変身しやすくなりすぎる」というドラえもんの忠告通り、変身しやすくなりすぎたのび太。 チラッとそのモノを見ただけで変身するようになってしまう。ネコ・・イヌ・・・オウム・・・裸の静香・・・カエル・・・ゴキブリ・・・と変身したところで、玉子にほうきで叩かれ、気絶する。 |
36巻「アドベン茶で大冒険」 | アドベン茶 | 大冒険をする |
「のび太のパパ・受難大全」にも書いたが、「一口5分」の大冒険ができる「アドベン茶」を大量に飲んだのび助。 雨漏りの修理で屋根に上がったところをラジコンに追いかけられ、降りたところをいきなり銀行強盗に追われ、一休みしたところで工事のクレーンに乗っかって上昇させられ、逃げ込んだビルが火事になり、慌てて逃げたところへトラックがやってきて、そのままどこかへ運ばれてしまう・・・という大冒険をする羽目に。 |
44巻「おれさまをグレードアップ」 | グレードアップえき | 放屁で空を飛ぶ |
ジャイアンがのび太に命じて「グレードアップえき」を噴霧させるが、尻にかけただけで液がなくなってしまう。 怒ったジャイアン、はずみに屁をして、そのまま空へ飛んでいく。 スネ夫「すごい性能だねえ。」 |
44巻「腹ぺこのつらさ知ってるかい」 | ヤセール | 3日間飲まず食わずになる |
「太りすぎで食事を減らしたい人のための薬」として登場したのがその名も「ヤセール」。 一粒飲めば一食、食べることができなくなるという強烈な作用。 のび太、ドラえもんの話をよく利かなかったために十粒ほどまとめて飲んでしまい、三日三晩飲まず食わずで過ごす羽目に。 |
眺めてみると、「ひとびん全部」飲んだり、追加で過剰に飲んでみたり、
どうも危ない使い方をしている気がしてなりません。
ご覧の通り、実に70%以上もの割合で「飲みすぎ」が原因になっていることが分かりました。
薬は用法・容量を守って正しく飲むこと―。
これは未来でも変わらないようです。ドラえもんにはそんな教訓も詰まっています。
参考文献;藤子・F・不二雄『ドラえもん』1-45巻(小学館)
公開開始:2008年10月26日