ジャイアンの名台詞と言えば「心の友よ」。
これまでに何人が「心の友」に認定されたのでしょうか。
今回は、そんな「心の友」をリスト化してみました。
その数、何と 20回、延べ22名。
意外と少ない・・・ことが判明しました。
▼キャラ別「心の友」認定回数と割合は以下の通りです。
のび太がダントツです。
過去に173回も殴られているのび太。
その「裏返し」でしょうか。
というか、のび太とドラえもんとスネ夫だけです。
非常に認定者のパターンが少ないのが特徴です。
▼シーン別「心の友」認定要件は以下の通りです。
ジャイアンの命である「歌」関係が群を抜いています。
次がスネ夫から何かを借りたとき。
意外と「現金」なジャイアンの素顔も見えてきます。
では、詳しくリストをみてみましょう。
巻・話 | 「心の友」認定者 | 状況とジャイアンのセリフ |
11巻「ジャイアンの心の友」 | のび太 | のび太がジャイアンのご機嫌取りに「ジャイアンの歌のレコード」を出すことに。レーベルは「ノビタレコード」、デビュー曲は「乙女の愛の夢」。
気を良くしたジャイアン、 これが記念すべき「心の友」第一号である。 |
のび太 | ジャイアンの強制力で、町中のあちこちから、「乙女の愛の夢」が流れるようになった。 気を良くしたジャイアン、 「心の友よ、きょうだいよ。このぶんだとNHKの紅白出場も、ゆめじゃない。」 と涙を流して喜ぶ。 |
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12巻「ウラオモテックス」 | スネ夫 | スネ夫がジャイアンと道端でばったり。スネ夫、ご機嫌取りのごあいさつ。 「よっ、人気歌手。これからテレビ局?」 「こんどのリサイタルいつ?楽しみにしてるんだよ。」 気を良くして歌いだすジャイアンを見て、「ぷっ、ばかはおだてやすいよ。」と一言。その場を立ち去る。 再びスネ夫と出会ったジャイアン。 |
13巻「ジャイアンシチュー」 | のび太 | ジャイアンがシチューを作ることに。その名も「ジャイアンシチュー」。 中身はひき肉と沢庵と塩辛とジャム、煮干し、大福・・・がミックスされたもの。効果音は「ドローリ」といかにも・・・ スネ夫いわく、「ぶきみなにおい」。 のび太、道具「味のもとのもと」を使って「ジャイアンシチュー」をおいしそうに食べる。 「こんなうまいものはじめてたべたよ。おかわりほしいな。」 喜んだジャイアン、「きみだけだ、わかってくれるのは。きみこそ親友だ。心の友だ。」 |
16巻「シンガーソングライター」 | のび太、ドラえもん |
道具「メロディーお玉」を使って、あこがれのシンガーソングライターになったジャイアン。 「おれはこれを使ってつぎつぎに名曲を作るぞ!そして、世界的な大歌手になるんだ。 |
のび太、ドラえもん |
リサイタルを聞く相手がいなくて困っていたジャイアン。のび太らを見つけて・・・ 「おう、親友よ。心の友よ。いいところであった。」 |
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17巻「驚音波発振機」 | のび太、ドラえもん |
未来の防虫具、「驚音波発振式ネズミ・ゴキブリ・南京虫・家ダニ・白アリ退治機」に必要な「驚音波」テープを紛失したドラえもん。 テープの代わりに、ジャイアンの 歌から発せられる有害な音波を取り出そうと画策したのび太とドラえもん。早速ジャイアンをだまして・・・ 「ぜひきみの新曲を聞きたいんだよ。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。心の友よ!」 |
のび太 | 「驚音波発振機」の評判を聞いたジャイアン、のび太の家を訪問。 「心の友よ。たのみがある。スネ夫の家のゴキブリを退治したそうだな。うちもたのむ。」 冷や汗を流すのび太。 |
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18巻「のび太の部屋でロードショー」 | スネ夫 |
スネ夫が買った漫画「ドタバタくん」。 「おもしろいんだぞ。すぐ売りきれちゃうんだ。」 「なかよく読もうな。心の友よ。」 |
25巻「円ピツで大金持ち」 | のび太 |
道具「アルバイト料先ばらい円ピツ」を使い、ジャイアンの野球チーム「ジャイアンズ」のホームグラウンドを作ると宣言したのび太。 「え?っ。わがジャイアンズの、ホームグランドを作ってくれるって!!し、しかしのび太さん。土地を買うだけで、何億円かかることやら。」 |
29巻「グンニャリジャイアン」 | スネ夫 | 恋煩いをしたジャイアン。 おべっか使いのスネ夫、「ぼくらはね、ジャイアンのためなら、火の中 水の中へでもとびこむよ。」 涙を流し「心の友よ!!」 |
対象者なし | 「三時間のうちに、あの子とおれを友だちにしろ!成功したやつは心の友だ。失敗したやつは、ただではすまねえぞ。」 もはや選択権すらないのび太とスネ夫。 |
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32巻「腹話ロボット」 | スネ夫 | 「ひさしぶりに新曲ができた。おれの作詞作曲だ。ききたいか。」 スネ夫、おべんちゃら。「ききたい!ききたい!ひさしぶりだなあ。おそいんだよジャイアン。いつ新曲ができるかと、まちくたびれちゃったよ。」 「なまけて悪かった。心の友よ。」 のび太「おそいんだよ、ジャイアン。もっとおそくてもよかったのに。ききたいききたい。どうせきかされるなら、いやなことは早くすませたい。」 |
のび太 | ジャイアンリサイタル。 のび太、「腹話ロボット」を使って発言。 「ひどい歌だなあ。はっきりいって、がっかりしたなあ。ジャイアンの歌は、こんなもんじゃないはずだよ。おかしい!ひょっとして、のどをいためているんじゃない?」 「そういえば・・・・・・、ゆうべメザシをくった時、小骨をのどに・・・。」 のび太「やっぱり!!むりしちゃだめじゃないか。将来の大歌手が、もっとのどをだいじにしてくれなくちゃ。」 ジャイアン、のび太の手を「ガッシ」と握り、涙を流して・・・ 「心の友よ!!きみだけだ。こんなにも気づかってくれるのは。きみのいうとおり、のどがなおるまでリサイタルをのばそう。」 |
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33巻「大人をしかる腕章」 | のび太 | 「大人をしかる腕章」を持っているのび太に対して、ジャイアン。 「よう、うちのかあちゃんもしかってくれよ。おれが悪いことすると、おこるんだ。」 |
35巻「ジャイアンへのホットなレター」 | のび太 | ジャイアンファンレター大募集を強制的に行わされることとなったのび太とドラえもん。
道具「もはん手紙ペン」を使って、ジャイアンのファンレターを書いたのび太。 一等賞品はジャイアンの特大パネル。 |
42巻「万能クリーナー」 | スネ夫 |
ジャイアンが風邪で学校を休んだ・・・ のび太とスネ夫のやりとりから。 のび太「ジャイアンがいないと、のびのびするね。」 スネ夫「ほんと!いつまでも休んでほしいよ。」 そこへジャイアン登場。 調子のよすぎるスネ夫。 |
スネ夫 |
学校帰り・・・ 「さあ、ノートをかすよ。」 |
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43巻「かしきり電話」 | のび太 | ジャイアンのリサイタル屋内会場探しを命じられたのび太とドラえもん。なんとか見つけ出すと・・・ 「えっ、みつかったって。心の友よ!!」 |
43巻「へたうまスプレー」 | のび太 | 「ジャイアン音楽院」を設立したジャイアン。 「みんなもしってるとおりおれのうたは天才的だ。この才能をおれひとりの物にしとくのはもったいない。で、みんなにみっちり歌を教えてやろう、というわけさ。入学したい?」 強制入学させられたのび太。 |
乱暴極まりないジャイアン。彼の強力な決め台詞が「心の友よ!」です。
この言葉は、ただの感激にとどまらず、
「自分のために尽くしてくれる友」に出会った時の、魂の叫びともみてとれます。
かと思うと、スネ夫に漫画本やノートを借りる時に使う「心の友よ!」があることも分かりました。その意味では、安っぽい「心の友よ!」もあるということですね。ジャイアンも意外と現金です。
そして大きな例外はこれですね。
「三時間のうちに、あの子とおれを友だちにしろ!成功したやつは心の友だ。失敗したやつは、ただではすまねえぞ。」(29巻「グンニャリジャイアン」)
これなどは、「心の友」をダシにした脅しでしかありません。ジャイアンの恐ろしさを改めて感じることができます。
※追記(2012.06.11)
「な、なんと!! のび太が百点とった!!」(25巻)について。
ドラえもんが使用した道具「ピーアール」の効果で、のび太が百点を取ったことが大騒ぎに。そんな中、テレビ局員の「テレビで特別番組をやるんだ。きみたち出演して、友人の目からみたのび太くんを語ってくれませんか。」という問いかけに、ジャイアンは(のび太が)「おれの心の友なんです」と即答している。
直接当人に言ったわけではないものの、普段からのび太のことを「心の友」扱いしていることが垣間見られる、心温まる(?)シーンです。
参考文献 藤子・F・不二雄著『ドラえもん』 1-45巻(小学館)
公開開始:2008年4月26日