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デジタルデトックス熱

朝井リョウの小説『スター』を読みました。新進気鋭の映画監督・Youtuber・オンラインサロニストが煩悶する話ですね(すごく説明を端折っていますが)。「ものをつくる」って何だろう、「人に評価される」って何だろう・・・と考えながら一気読み。朝井リョウの作品はどれも、一気読みさせる魅力を持っていますね。

朝井さんの作品では初めて、珍しくところどころに説教臭さを感じたので「なんでだろう?」と最後まで読んでみて、奥付を見たら「朝日新聞に連載」と書いてあったので「ああ、なるほど!」と妙に納得しつつ(?)、読後に私が最初にとった行動は何かというと、Youtubeの登録チャンネルの整理でした。

すぐに影響されるタイプというか、変なところで素直というか。

気づいたら200チャンネル位も登録されていて、チャンネル名を見ただけでは「何の動画だっけ?」みたいなものもいろいろあったので、思い切って整理です。なんか、動画であんなに「登録、登録」っていうから解除したら申し訳ないなと思うわけですよ。だからこれまでは罪悪感がすごかったんですが、『スター』を読んだらそんな罪悪感、吹っ飛びましたね。

本当に見たいやつだけ見ればいいや。

広告が増えまくっているうえに、すでにトップ層はサロンだったり物販を始めたり「第三の道」を用意しはじめているじゃないですか。明らかに以前ほどの勢いはないんですよね。見ていても惰性というか。以前ほどの「高揚感」がない。そうモヤモヤ思っていた時にこの小説を読んだら、なんだか・・・なんだか急速に冷めてしまいました。

本当に見たいものだけ見ればいいや。

「マリオの映画」を見た話。おもしろかったなぁ。

「ザ・スーパーマリオブラザーズ ムービー」、映画館で見てきました。いい意味で頭を空っぽにして楽しめる、没入感の高い娯楽映画でした。90分あっという間でした。さすがは任天堂、そしてマリオの生みの親である宮本茂さん直々のプロデュースの作品だけあるな、と思いました。全年齢がもれなく楽しめる、まさにエンタメの王道といえるでしょう。ちょっとでも迷っているならば見て損なし、と思います。

そして「マリオの映画」といえば、これを話さずにはいられません。今からちょうど30年前に『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』という、ある意味伝説の実写映画がありました(こちらもハリウッド)。これ、話自体は面白くて当時見た私は好きだったのですが、こちらは「マリオ」だと思って見ると肩透かしを食らうこと請け合いです。何しろピーチが出てこない(笑)、ヨッシーの造形がマジでクソヤバい、クッパは「こいつ誰やねん」・・・と、まあ・・「この30年でここまでライセンス管理って進化するんですね」ととても感慨深くなります。

「のび太と空の理想郷」をみた話

ドラえもん映画42作品目、『のび太と空の理想郷(ユートピア)』を観ました。

さすが、古沢良太さんの脚本です。藤子先生の作品(大長編原典)以降の「映画ドラえもん」としては、私の中では『秘密道具博物館』とならぶ傑作だと思いました。

「ドラえもん」の題材や映画としての「お約束」(出木杉が冒険に参加しない、静香の入浴シーンの堅持など)は十分に生かしつつ、迫力の戦闘シーンや「謎解き」要素も加えた「新しさ」も感じることができる快作でした。

筋書としては「ユートピアだと思われていた世界が実はとんでもないディストピアだった」という、とてもベーシックなプロットなのですが、テーマとして「子どもも大人ものめり込める」絶妙なラインを攻めている印象でした。「お約束」な展開になるかと思いきやなかなかそうはならず、「この先、どういう展開になるのか?」がなかなか読めなくて、映画館もクライマックス部分では、誰もが息をのんで静まり返っていましたね。「魅せる」映画でした。

つい最近、恩田陸さんの『ユージニア』を読んで、ユートピアなるものに震え上がっていたものですから、そういう意味でもタイムリーでしたね。

こうしてみると、『ドラえもん映画』はまだまだネタが尽きないな、と思いました。来年は”音楽”がテーマ?のようです。これまた楽しみです。