トップページ漫文2003

仮説物語


●桃太郎

むかーし、むかし、あるところに、

おじいさんとおばあさんがおったと。

おじいさんはセールスマンに税金対策として薦められたBMWに乗って農協に、

おばあさんはキャッシュカード持って郵便局(田舎なので銀行がない)へ行ったと。

 

20年前まで、おじいさんは山へ芝刈りに、

おばあさんは川へ洗濯に行っていたのだが、

都会からやってきたハイソな女性の方たちが、

「男女の役割分担はサベツだ、サベツだ」と言ってこの夫婦を執拗に責めたため、

おじいさんは芝刈りを止め、おばあさんも洗濯を止めてしまった。

 

地元の国会議員のセンセイ(3世)が言うには、

「これも時代の流れ」だそうな。

 

川上から大きな桃が どんぶらこ どんぶらこ と

流れてきたのだが、不気味で誰も拾わず。

 

野良犬は保健所。

キジは貴重な野鳥ということで、保護センターの檻の中。

猿は全国を興行中。

 

鬼はたまに人を脅かそうとしても、

テレビの企画としか思われなくなってしまった。

 

宝物は眠ったまま・・・。

 

●兎と亀

兎は言った。

「もしもし亀よ、亀さんよ」

亀は答える。

「何だい?」

「世界のうちで、お前ほど」

「うん。」

「歩みののろいものはない」

「うん。」

「どうしてそんなに、のろいのか。」

 

亀は言う。

「じゃあ逆に聞くけど、」

「何だよ。」

「君は本当に早いの?」

「・・・・当たり前じゃないか。」

「証拠を見せてよ」

「・・・・・・」

 

ここは学校の檻の中。飼育箱とも言う。

俊足である証拠を見せるなど、無理なのだ。

 

兎は哀しくて、いつも目を真っ赤にしている。

 

●シンデレラ

シンデレラは、若く美しかった。

だが、

意地悪な継母。

意地悪な姉妹。

必然的に苛められることになる。

 

見るに見かねた魔法使い。

「シンデレラ、シンデレラ、変身させてあげる。舞踏会へ、行ってらっしゃい。」

「あら、ありがとう」

「12時になったら、魔法が解けるわよ。」

「はい。」

かぼちゃの馬車。メルヘン。

 

舞踏会。王子。面食い野郎。

「あ!あの娘がいいな」

 

シンデレラと王子のダンス。

誰もが魅了される。

時間を忘れ・・・

 

12時。鐘が鳴る。

あわてて駆け出すシンデレラ。

靴が・・・ガラスの靴が・・・

何故これだけ魔法が解けなかったのかはさておき、

 

王子は探す。懸命に探す。

靴に合う女(ひと)を求めて・・・

 

シンデレラの家。もちろん、意地悪な女たちはこぞって

「私よ」と絶叫する。

シンデレラ。一人床磨き。

 

・・・ガッチャーン

ガラスの割れる音。

 

継母の足が大きすぎて、というか、無理に足を入れたものだから、

ガラスの靴が壊れてしまった。ガラスだもの。

 

王子。がっかり。

シンデレラ。気付かない。

 

次の日の朝。シンデレラ。

「おかあさま、おかあさま、朝食でございますよ」

 

継母はどこにもいなかった。

おそらく、重臣によって・・・

 

王子。日に日に衰える。

次第ににうわごとを言うようになる。

「あわわわわ」

言葉が聞き取れるようになってきた。

ちょっと無理があるけど、

「あわわわわ」

「しゅわわんわわんわんわんわん」

「んんんんでれでれでれしんでれらしんでられれれ」

「しんでれら・・・しんでれら・・・」

 

主治医が気付く。「シンデレラ・・・?」

王も報告を受ける。「恐らく シンデレラ が意中の娘じゃよ。」

話に無理があるけど、

 

とにかく、シンデレラは見つけられ、

正気になった王子とともに、いつまでも幸せに暮らしました、とさ。

 

話に無理がありましたね。構想なしで思いつきで書いているので。


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