痔瘻Q&A集! 痔瘻かな?と思ったら・・

痔瘻のQ&A集です。
「もしかして、自分は痔瘻じゃないか・・?」とお考えの方から、
「手術ってどんな感じ?」というものまで、経験者がお答えします

(2012年1月記す/8月追記)

Q1.これは痔瘻、という特徴はありますか?

「下痢をした翌日〜数日後に、お尻の周囲におできができて、それがかなり痛む
「お尻の周囲のおできが、ぶよぶよしてちょっと変な腫れ方をしている。それが短期間に繰り返し起こる」
「お尻のおできがいたくて、座ったり、歩いたりするのに難儀する。それがしつこいくらい何度も起こる」
「お尻のおできに薬を塗っても、なかなかよくならない。あるいはよくなっても1-2か月の間に再発する」
「お尻のおできがなおったが、どうもその跡地にぶよぶよのしこりが残っていて、すぐ再発する」

キーワードは、「お尻の妙なおできが、短期間に多発する」ということです。

そんな症状があったら、「肛門周囲膿瘍」のサイン。これが繰り返すようだと、痔瘻の道まっしぐらです。ただちに病院に向かいましょう。自己診断で済ませたまま、たぶん大丈夫だろう、は危険です。

経験則でいって、以上の項目に「うーん・・あてはまるかも?」と思ったら、残念ながら9割方はクロです・・・

Q2.病院選びのコツを教えてください

まずは大前提として、何度も通院するので、通いやすい、近いところを選びましょう。遠いと、通うのだけで萎えます・・・痔瘻は原則、手術しなければ絶対に治りませんので、手術前の通院、入院、手術後の通院・・と、半年−1年は難なく通い続けられるエリアを選びましょう。

次に、腕のいい医者を選びましょう。痔になった友人や親戚の体験談を集めるのがもっともよいですが、このほかにもネット上の口コミがかなり有効です。

痔瘻手術は相当に「技術力」が関係してきます。技術力とは、要するに症例数です。最近は「症例数」を比較する書籍なども出ていますので、できるだけ症例数の多い病院を選ぶようにします。

私の場合は、最初の肛門周囲膿瘍の時に症例数の少ない医者に当たってしまい、膿瘍を再発させるような未熟な切開を受けて、いたずらに痔瘻を深くしてしまいました(「やや複雑な痔瘻」化)。このような失敗を避けるためにも、はじめから名医にかかるようにしましょう。

Q3.痔瘻の手術とはどのようなものですか?

「痔瘻の手術」自体はなんということはないのです。辛いのは、前段階である「肛門周囲膿瘍」の時の切開術と、「痔瘻手術の後の激痛」です。

痔瘻の前段階の「肛門周囲膿瘍切開術」は、局所麻酔で膿瘍を切り抜く手術です。これは、はっきり激痛です。

膿を抜く瞬間は、「ぎゃおー」と叫ぶつもりでおりましょう。この一瞬の苦しみを乗り越え、膿を抜くと急激に楽になります。ヤブ医者にかかると、中途半端な切開をされ、私のように何度も切開術を受ける羽目になります。繰り返しになりますが、最初から名医に診ていただくようにしましょう。

そして痔瘻の手術です。膿を切開して、しばらく経たないと施術はできません。

痔瘻の手術には様々なものがあるので、詳しくはググる、もしくはお医者様に直接聞くようにしましょう。これを詳しく説明できない医者は手術のできない医者です。症例数の多い医者は、「こういうときはこう、こういうときはこれ」と様々な解を持っています。

私の受けた「シートン法」は、括約筋を守り、肛門の形をほぼ崩さないことからもっとも一般的な術式と言われています。一言でいえば、「くりぬいた穴にゴムを通し、ゴムを押し出そうとする体の作用で肉を盛り上げて、痔瘻の管を自然治癒させる」という方法です。このサイト内でも所々で説明していますので適宜ご参照ください。

シートン法の手術は、脊椎麻酔で行います。繰り返しますが、痔瘻の手術に関して言えば、術中の痛みは特にありません辛いのは、「そのあと」です・・・。

Q4.痔瘻の手術後の辛いポイントを教えてください

(1)手術の翌日、尿道カテーテルを抜くとき
飛び上がるほど痛いです。2、3回はトイレでおしっこをするのが怖いくらい、尿道が痛みます。(※私は男性である、という前提でご覧ください)

(2)術後1週間が痛みのピーク
ちょうど退院するくらいのときがもっとも痛いです。退院後3-4日は通常の生活が「できない」とお考えください。私の場合、余りの痛さで会社に復帰する日を3日も伸ばしてしまいました・・・

(3)術後2週間くらいまでは排便が苦痛
当然ながら排便がしみます。1-2週間は、排便→激痛→お尻を洗う→少し楽になるが、手術口がズキズキしてくる→30分くらいは布団でうずくまる・・という日々が続きました。

こんな時に下痢なぞしたらアウトなので、当面は整腸剤も服用します。が、そもそも余りの痛みに「1日1回だけ」しか排便をする気が起きないので、畢竟、間食を取る気も起らなくなります。したがって、入院中には必ずやせます。

(4)術後の通院で、「ゴムを締める」とそのたびに激痛が・・
2週間おきにお尻に激痛が走ります。ゴムを締める日と、その翌日は激痛でまともに動けません。痛み止めが必須です。

私の場合は、痛みのあまり脳貧血を起こしたり、ゴムを締めすぎてお尻が大出血したり、痛み止めの副作用で血尿が出たりと散々でした。

Q5.痔瘻になってよかった、ということはありますか?

一切、ありません。強いて言えば羞恥心がなくなったことですかねぇ・・。

Q6.そもそも、痔瘻の原因って?

痔瘻の発生機序は単純です。

排便した時に、「固いうんち」であればすんなりと排出されるわけですが、下痢になって、すんなりと排出されずに「迷いうんこ」となってしまうことって、ありますよね(肛門の中に残るわけです)。

この「迷いうんこ」に潜む細菌が、何らかの原因で偶然穴の開いた(傷のついた)肛門のポケットから侵入して、化膿して膿瘍を作り、それがやがて通り道(瘻管)となって「痔瘻」になる、というものです。

おお怖い。

人間、誰しも下痢くらいしますから、痔瘻になるというのはもはや究極的には「」だそうです。誰でもなり得る病気、それが痔です。二足歩行をする人類の宿命ですね・・

ただし、「運」とはいっても、

体質的に下痢をしやすい人 → 「迷いうんこ」ができやすい
お尻でイケナイ遊びをする人 → 肛門に傷がつきやすい

という傾向はあるようですので、心当たりのある方はご注意ください。
とくに(私もそうですが)体質的に下痢をしやすい、という神経質な方は痔瘻を発症しやすいようです。

私の場合はちょうど1年前、2011年の1月、思いもよらず転勤の辞令が出て、その直後からお尻が腫れています。たしかにこのころは引継ぎやら何やらでお腹の調子も悪かったですから、そのストレスが直接の原因だったんだろうなぁ・・というのが見立てです。というかそれ以外に思い当たらない・・・。

Q7.痔瘻を予防するには?

究極的には「下痢をしないこと」「お尻を傷つけないこと」です。あとは運しだい・・・
思いつくのは、こんなことくらいでしょうか・・

・暴飲暴食をしない
・過敏性腸炎の疑いがある人は、その治療も並行する(下痢をしない生活を送る)
・ストレスをためすぎない
・お尻を清潔に保つ(ウォシュレット使用の励行)
・お尻を大切にする(排便後に堅い紙で拭きすぎない、肛門でイケナイ遊びをしない)
・長時間座るときは、適度に立ったり座ったりしてお尻に負担をかけない
・トイレではいきまない
・規則正しい生活をする