トップページ漫文2003

仮説物語3


りんごころりん

昔、昔、あるところに

お爺さん と お婆さんがおったと。

お爺さんは山へ芝刈りに行ったそうな。

 

お婆さんは昨日他所から頂いた

りんごをお爺さんに手渡した。

 

お爺さんは喜んで、

有難う と言ったと。

 

芝刈りをしていたお爺さん。

しばらくして、休憩することにした。

今朝もらったりんごを頬ばった。

 

すると

りんごが

ころころころころ と

転がったと。

 

慌てて追いかけるお爺さん。

待てや、

待てや、

りんごよ

待てや。

 

りんごは山のふもとの小さな穴に、

見事 ホールインワン したと。

お爺さんは思った。

「保険に入っておけばよかったな」と。

 

お爺さんは穴の中を見た。

すると、ネズミがいて、

「サンキュー」と英語で答えた。

 

お爺さんは度肝を抜かれ、

渋谷駅前のジオスで身につけた得意の英語を披露した。

「ゆーあーウェルカム」

 

次の日。

お爺さんは山へ芝刈りに行くと、

腰を抜かした。

 

昨日の穴から、

何とも大きな

ツタ

が生えているではないか。

 

たとえて言うならば、

ファミコンのマリオに出てくるボーナス面のような感じのツタ。

雲まで通じているようだ。

 

お爺さんはそこへ飛び乗った。

よいしょ、よいしょ。

お爺さんはあっと言う間に登ってしまった。

 

雲の上。

お爺さんは思った。

これは、「ジャックと豆の木」のノリだな、と。

 

水蒸気に人間が立てるはずないのだが、

お爺さんは雲の上に立つことができた。

何故かそれを不思議には思わなかった。

 

お爺さんはとても若い青年になっていた。

不思議な現象だが、驚かない。

 

ちょっと肌寒いが、別にどうということもない。

少し歩いてみる。

そして、またもや度肝を抜かされた。

 

向こうのツタから、緑色の服を着た男が登ってきたのだ。

その男は興奮した面持ちで、雲の向こうの大きな家へ走っていった。

青年は、直感的に「こいつはジャックだな」

と思った。

 

暫くして、

金の卵を産むニワトリの

けたたましい叫び声が聞こえてきた。

 

それから。

青年は、またもびっくりした。

赤色の服に青いつなぎのズボンを羽織ったラテン人が

ジャンプをしながらコインを集めているではないか。

 

青年は思った。「ここはボーナス面なのかな」と。

しばらくその様子を見ていると、

そのラテン人は

突然 増えた。

 

コインを100枚取ると、

このラテン人は 増殖するらしい。

青年は直感的に思った。

 

青年は驚愕のあまり入れ歯を落としそうになった。

が、入れ歯ではなかった。若返ったので。

 

雲の下から

青いデブロボットが飛んできた。

黄色い服を着たメガネも一緒だ。

 

 

 

 

いつもここで目が覚める。

そう呟きながら、

お爺さんはあくびをして、

再び芝刈りをはじめた。

 

不思議なりんごにご用心。


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